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朝、起きると口の中がネバネバ…しっかり歯磨きしたはずなのに、なぜ?

起床時、口の中に不快なネバつきを感じることはありませんか。就寝前にしっかり歯を磨いてもネバネバしてしまうことがあるのはなぜなのか、歯科医師に聞きました。

不快なネバつきの正体とは…
不快なネバつきの正体とは…

「起床時、口の中がネバネバしている」という人は少なくないかと思います。口の中にネバつきを感じるときは、不快感に加えて口臭も気になり、「前の晩にしっかり歯磨きをしても、朝になるとネバネバする」「原因は何?」「気持ち悪いから改善したい」といった声が上がっています。

 起床時に気になる「口の中のネバネバ」にまつわる疑問について、ヒグチデンタルクリニック(東京都台東区)院長で歯科医師の三枝遵子さんに聞きました。

「歯磨きが上手にできていない」可能性も

Q.起床時の「口の中のネバネバ」の正体、原因は何でしょうか。

三枝さん「口腔(こうくう)内の食べカスや細菌、また細菌が出す産物がネバネバの原因です。就寝中は唾液の量が少なくなるため、朝一番は一日の中で最も口腔内細菌の数が多いといわれています。

唾液が減ると、唾液の役割である自浄効果や殺菌効果が低下するため、口の中がネバネバしているときは、口臭も発生しやすいです。『しばらく水を流していない排水溝のような状態』というとイメージしやすいと思います。臭いの成分は硫化水素、メタンチオール、硫化ジメチル、ジメチルサルファイドといった揮発性の硫化物が挙げられますが、発生する臭い成分は人によっても、その日の体調によっても異なります」

Q.口の中がネバネバしやすい人の特徴はありますか。

三枝さん「まず、就寝前の歯磨きがしっかりできていない人は、起床時、口の中がネバネバしやすくなります。治していない虫歯が多くある人、歯周病の治療をしていない人は、たとえ就寝前の歯磨きをしっかりしたとしても、口の中がネバついてしまいます。

また、口腔内の乾燥によってもネバネバしやすくなります。ストレスなどによって交感神経が優位になっている▽口呼吸(肥満や鼻疾患によるもの)▽降圧剤といった服用薬の副作用がある―場合は、口腔内が乾燥しやすくなるので要注意です。多量の飲酒をする人や、カフェインをよく摂取する人、糖尿病の人も、脱水傾向によって口の喝きが起こりやすいです。会話することが少ない人や、硬い物を食べない人も、口腔機能が低下しやすく、唾液減少によって口腔内が乾燥しやすいといえます。喫煙者も唾液の量が少なくなりやすいです。

もう一つ、しっかり磨いていると思っていてもネバネバを感じる人は、実は歯磨きが上手にできていない可能性もあります」

Q.しっかりと上手に歯磨きをするには、どうすればいいのでしょうか。

三枝さん「毛先の細い歯ブラシを使って、歯茎周りを丁寧に磨いてみてください。歯間ブラシやフロスも使用して、歯と歯の間のケアも行いましょう。舌の表面にある『舌苔(ぜったい)』も除去するなど、口腔内をよりきれいに保つことを意識しましょう。それでも改善しないなら、歯科医院の受診をお勧めします。

また、『ネバネバが気になるから』と、洗口剤を使って口をゆすぎ過ぎると、かえってネバネバの原因になる可能性があります。口腔内にはよい菌も悪い菌もいますが、殺菌効果のある洗口剤を何度も使用すると、悪い菌だけでなく、よい菌も殺菌されてしまうため、口腔内の菌のバランスが悪くなり、悪い菌が優位になって、ネバつきを感じやすくなることも考えられます」

Q.口の中のネバネバへの対処法はありますか。

三枝さん「やはり、就寝前の丁寧な歯磨きです。先述の通り、歯だけでなく歯と歯の間のケア、歯と歯茎の間のケア、舌苔のケア、そして使い過ぎない程度に洗口剤を使ったケアを行ってください。口呼吸をしやすい人や口の喝きが気になる人は、就寝中に鼻呼吸がしやすいよう、口に専用のテープを貼るのもよいでしょう。それでも気になる場合は、ネバネバを取り除くため、朝一番に歯磨きをしましょう。朝一番の歯磨きで口腔内をきれいにすることで、悪い細菌の産物を体内に入れない作用もあり、風邪やインフルエンザなどの感染症予防になるとも、最近はいわれています」

Q.口の中のネバネバを防ぐために、日常生活上で意識するとよいこととは。

三枝さん「口腔内をよりきれいすること、そしてそのために、しっかりと歯垢(しこう)を取り除ける歯磨きを習得することです。口腔内の細菌をゼロにすることは難しいですが、ゼロに近づけるようなイメージで歯磨きをしてみてください。ただ、残念ながらそれでも食べカスや歯垢は取り切れませんから、少なくとも3カ月に1度くらいは歯科医院に行き、セルフケアで取り切れない歯垢を除去してもらうようにしましょう。また、全身疾患や生活習慣からくる口腔乾燥もあるので、生活習慣を改善し、バランスのよい食生活を心掛け、定期的に健康診断を受けることも大切ですね。

そして、唾液を出やすくすることも大切です。唾液がたくさん出ることは元気の証しです。加齢によって量は少なくなりますが、体を鍛えれば筋肉がつくのと同様に、日頃からよく話したり、よくかんだり、大きな唾液腺がある顎の下や頬周りをマッサージしたりすると唾液が出やすくなります。実際、高齢者でも唾液が多い人はやはりお元気な印象です。1日だけの筋トレでは筋肉がつかないのと同じように、唾液が出なくなってから急いでマッサージしても、いきなり量が増えることはありません。積み重ねを大切に、日頃から意識してみてください」

(オトナンサー編集部)

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三枝遵子(さいぐさ・じゅんこ)

歯科医師

ヒグチデンタルクリニック院長。1994年、日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部付属歯科病院歯周病学講座を経て、東京都台東区浅草で樋口歯科を開業。2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変更、雷門に移転し、現在に至る。2011年、予防啓蒙(けいもう)活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。2013年には「DVDでみる絵本」、2021年には「大人にこそ読んでほしい」との思いから、絵本「なんで はをみがくの?」を制作。欧米諸国並みに日本人の歯の予防意識を向上させたいと、予防啓蒙に励んでいる。ヒグチデンタルクリニック(http://www.0358270118.com)。

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