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「出っ歯」って、どれくらい歯が出ていること? 思い込んでいる人も多い?

出っ歯を気にする人は多いですが、何を基準にして「出っ歯」だと定義できるのか、曖昧です。歯がどのような状態であれば、出っ歯なのでしょうか。

「出っ歯」の基準は?
「出っ歯」の基準は?

 歯並びを気にする人は多いですが、自分のことを「出っ歯」だと思っている人は特に、コンプレックスを抱いていることがあります。しかし、中には、前歯が少し出ているだけであっても、「自分は出っ歯だ」と思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。そもそも、何を基準にして「出っ歯」だと定義ができるのか、知らない人は多いと思います。歯がどのような状態であれば、出っ歯なのでしょうか。何らかの基準があるのでしょうか。歯科医師の中村貢治さんに聞きました。

「出っ歯」と思い込んでいる人も多い

Q.出っ歯になるのは、どのような原因からですか。

中村さん「出っ歯とは、前歯が普通よりも前に出ている状態を指し、専門用語では『上顎前突(じょうがくぜんとつ)』といいます。つまり、上顎の前歯が突出しているものが『出っ歯』で、下顎の場合は『受け口』とも呼ばれています。

原因ですが、多くは幼い頃の長時間の指しゃぶりや、物を吸うような食べ方、前歯でいつも何かをかんでいるなどの癖が原因とされています。前歯が出ているように生えることもありますが、ごく少数であり、日頃の習慣や癖が原因となることが多いようです」

Q.「出っ歯である」と定義できる基準はあるのでしょうか。ある場合、どのような基準ですか。

中村さん「基準はあります。上の前歯先端部と下の前歯の間の水平的な隙間を『オーバージェット』といいますが、この隙間が標準2~3ミリ程度であるのに対し、5ミリ以上の場合に『出っ歯』と定義されています。

しかし、顔の骨格は人それぞれで、骨格が大きければ5ミリ以上でも出っ歯に見えないこともありますし、骨格が小さければ、5ミリ未満でも出っ歯に見えることがあります。つまり、一概に『5ミリ以上』という基準だけでは判断しにくいのです。一般的には、上の前歯先端部と下の前歯の間の水平的な隙間が大きいものを『出っ歯』と称するようです」

Q.前歯が少し出ていることを気にして、「自分は出っ歯だ」と思い込んでいる人も世の中にはいるのでしょうか。

中村さん「出っ歯に関しては、基準よりも見た目で認識されることが多いと思います。それは、本人が『自分は出っ歯だ』と思い込む場合もあれば、第三者から指摘されて、そう思う場合もあります。

先述したように、一概に『出っ歯』かどうかに関しては基準に満たないものもありますし、歯の大きさと顎の大きさの不調和で歯のかみ合わせが悪くなる『乱ぐい歯』の場合や、唇が常に開いている場合にも、そういわれる傾向があるようです。

そのため、医学的に『出っ歯』に該当しなくても、そう思い込んでいる人も多数いると思われます」

Q.自分が出っ歯かどうかを自宅などで判断することはできるのでしょうか。できる場合、どのような方法ですか。

中村さん「自己判断は難しいところですが、簡単な方法としては、先述したオーバージェットを測る方法かと思われます。

まずは、上の歯と下の歯をかみ合わせた状態で唇を開け、上の歯の先端と下の歯の先端を定規で測り、5ミリ以上あれば『出っ歯』ということになります。しかし、あくまでもこれは基準であり、5ミリ以下でも見た目が大きく出ており、唇が閉じにくい場合は出っ歯といってもよいかと思われます」

Q.「毎日、出っ歯を指で押していると、意外と引っ込んでくる」ということを聞きますが、本当でしょうか。こうした行為は、問題ないのでしょうか。

中村さん「基本的に、小さい頃の乳歯や、まだ永久歯が生えそろっておらず隙間がある場合には、指で押して引っ込む可能性があります。しかし、その可能性は低く、さらに成人した永久歯は既にかみ合わせが確立されており、押してもほとんど動くことはないと思われます。

常に押し続けることを5~10年以上続ければ、動く可能性は否めませんが、こうした行為を続けることは悪影響があり得ます。前歯を押しすぎたことによって歯がグラグラになったり、上下のかみ合わせに異常が起きたりする可能性があると思われるので、おすすめしません」

Q.治療が必要になるのは、どの程度からでしょうか。また、治療はどのようにするのでしょうか。

中村さん「治療が必要な状態は、日常生活に支障が起きる場合が挙げられます。例えば、『前歯が出ていて下唇を傷つける』『唇が閉じずに口呼吸しかできない』『他人から指摘され不快な思いをしている』『物がうまくかめない』などの原因が挙げられます。

治療としては、ワイヤ(針金)やマウスピースを装着して歯を動かしていく『歯列矯正』治療が考えられます。公的医療保険が適用されないケースが多いと思いますので、事前に治療費や期間について、しっかり確認することをおすすめします」

(オトナンサー編集部)

中村貢治(なかむら・こうじ)

歯科医師

神奈川歯科大学大学院時代、NASAでの宇宙実験で博士号を取得。その後、神奈川歯科大学放射線学教室医局長、大学講師を経て、中村歯科医院を開業。現在は一般社団法人小倉歯科医師会理事、一般社団法人福岡県歯科医師会部会部員など、診療だけでなく社会活動にも従事。中村歯科医院ホームページ(https://www.nakamura-ct-dc.com/)。

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