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感染しないはずでは…コロナ第5波で子どもの感染急増、実情や防止策は?

給食や部活、特に注意を

Q.首都圏を中心に医療体制が逼迫(ひっぱく)し、感染者の入院が難しくなっています。子どもが感染して自宅療養となった際の注意事項を教えてください。

森さん「子どもは多くが軽症であると報告されていますが、急な症状の変化を見逃さないために、自宅療養中の健康観察が大切です。国立成育医療研究センターはホームページ上で『意識がはっきりしない、機嫌が悪い、食欲が低下している、水分がとれない、顔色が悪い、息苦しそう、おう吐を繰り返すなどの場合は担当保健所、またはかかりつけ医に早めに相談してください』と観察のポイントをまとめています。

また、東京iCDC専門家ボード(都の感染症対策について提言する専門家の会議)がまとめ、東京都が発行する『自宅療養者向けのハンドブック』では、家庭内感染を広げないためのポイントを8つ挙げています。

・感染者の世話をする人は限られた人にする
・感染者、世話をする人はお互いにマスクを付ける(ただし、2歳未満の子どものマスク着用は危険があるのでマスクはさせない)
・小まめに手を洗う
・日中はできるだけ換気をする
・よく触れる共用部分を掃除、消毒する
・汚れた衣服、リネンを洗濯する
・ごみは密閉して捨てる

以上です。子どもが小さい場合は、おむつを替えるときや体を拭くときなどに、マスクに加えて、1回ずつ交換しやすい使い切りなどの手袋やエプロンを着用することも感染対策の上で大切です」

Q.夏休み明け、学校が始まった際に注意すべき点を教えてください。

森さん「集団生活のため、感染の機会が増えます。マスクの着用、手洗いや消毒、教室の換気、体調が悪いときは登校しないなどの基本的な感染対策とともに、授業以外の幾つかの場面で特に注意が必要なことがあります。

給食やお弁当を食べる時間は、向き合って座らないことや会話を控えること(黙食)、体育の授業や部活動のとき、特に更衣室や部室などの狭い空間で『密』になって、会話しながら着替えないことなど、行動には十分注意してください。学童保育や習い事、塾などでも同様の注意が必要です。

緊急事態宣言地域で、子どもの感染増加を目の当たりにしている小児科の医師を取材すると『中高校生は仲間と一緒のときは顎マスクが多いように見受けられます。子どもが危機意識を持つのはなかなか難しいかもしれませんが、現在の感染状況で飛沫(ひまつ)が飛び交う会話は危険極まりない。どうか、不織布マスクの正しい着用(鼻、口、顎をしっかり覆う)と、ソーシャルディスタンスの徹底を意識してほしい』と、子どもたちに感染対策を徹底することの大切さを伝えたいと訴えていました。

そして、『リスクとベネフィットを考えた場合、やはり、ワクチンの効果はあるので、12歳から15歳も積極的に接種を検討してほしい』とも話しています」

(オトナンサー編集部)

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森まどか(もり・まどか)

医療ジャーナリスト、キャスター

幼少の頃より、医院を開業する父や祖父を通して「地域に暮らす人たちのための医療」を身近に感じながら育つ。医療職には進まず、学習院大学法学部政治学科を卒業。2000年より、医療・健康・介護を専門とする放送局のキャスターとして、現場取材、医師、コメディカル、厚生労働省担当官との対談など数多くの医療番組に出演。医療コンテンツの企画・プロデュース、シンポジウムのコーディネーターなど幅広く活動している。自身が症例数の少ない病気で手術、長期入院をした経験から、「患者の視点」を大切に医師と患者の懸け橋となるような医療情報の発信を目指している。日本医学ジャーナリスト協会正会員、ピンクリボンアドバイザー。

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