昆虫、歴史、鉄道…子どもの「熱中体験」、生かすも殺すも親次第
熱中体験で得られる効果は?
さらに、子どもの熱中体験にはよいことがたくさんあります。例えば、子どもが物事に熱中しているとき、脳の中で「ドーパミン」という幸せを感じるホルモンが出るため、幸福感が味わえます。しかも、ドーパミンは意欲、やる気、集中力、理解力、記憶力、思考力を高める働きもあります。これは脳のスペックが上がるということであり、いわゆる地頭がよくなるわけで、学校の勉強をするときにも大いに役立ちます。
また、熱中体験は非認知能力の養成にも役立ちます。非認知能力とは、IQ(知能指数)や到達度テストなど数値化できる認知能力に対して、数値化できない能力のことを指し、現在の教育学や心理学で非常に重要視されています。例えば、「目標や課題を自分で設定する力」「粘り強く努力する力」「忍耐力」「試行錯誤する力」「工夫する力」「行動力」「臨機応変な対応力」「感情コントロール力」「コミュニケーション力」「思いやり」「協調性」などが非認知能力に該当します。
先述のように、子どもが熱中して、好きなことや得意なことを深めると自分に自信が持てるようになります。それによって自己肯定感が高まり、他のことにもやる気が出てきて、生活全体に張りが出ます。また、好きなことを応援してくれて、たくさん褒めてくれる親に対して、感謝の気持ちが湧いてきます。それによって、親子関係がよくなります。
好きなことに熱中していると、自分が「やりたい」と思ったことをどんどんやっていく体験がたくさんできます。それによって、自分がやりたいことを自分で見つけてやっていくという「自己実現力」がつくのも大きいです。自己実現力がないと「人に言われたことはできるけど、自分では特にやりたいことが見つけられない」という状態になりかねず、これだと来るべきAI時代、超高齢化社会をアクティブに生き抜いていくことができません。
以上のように、熱中体験にはよいことが本当にたくさんあります。ぜひ、子どもが好きなことを応援して、たっぷりやらせてあげてください。それがそのまま、将来の仕事に直結するとは限りませんが、熱中体験によって得られたものは必ず次に生きてきます。
もちろん、子ども本人が途中で飽きてしまって、何か別のことに熱中するようになることもよくあると思いますが、そういうときは親も気持ちを切り替えて、新しいものを応援してあげてください。間違っても「せっかくここまでやったのだから、続けなきゃダメでしょ」などと無理強いしてはいけません。
子どもは苦痛になって、それが嫌いになってしまう可能性がありますから。それによって、子どもが憂鬱(ゆううつ)になったり、自信がなくなったり、親子関係が悪くなったりするなど、ろくなことになりかねません。子どもの人生は子どものものです。親は子どもをコントロールする存在ではなく、応援団であってほしいと思います。
(教育評論家 親野智可等)

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