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「子育て」「家事」で苦しむ親の姿は子に悪影響、どう対処したらいい?

家族以外の人を頼ろう

 子育てや家事は細かい仕事が非常に多く、全て自分たちだけでやろうとすると時間とエネルギーがいくらあっても足りません。そんなことは、そもそも無理なことだと思った方がよいでしょう。時には同居する家族以外の人の力を借りても構いません。

 自宅から遠くない場所に祖父母(自分たちの両親)が住んでいれば、祖父母が子育ての強力な助っ人になってくれる可能性もあります。そのためには日頃から、祖父母とよい関係を築くことが大切です。そのコツは相手の話を共感的に聞くこと、相手を褒めることです。また、適度に自分の悩みを打ち明ける「自己開示法」によって、お互いの心がつながることもあります。

 ただし、祖父母にも自分たちの生活や趣味がありますので「孫の面倒を見るのは当たり前」「孫の面倒を見るのはうれしいはずだ」とばかりに無遠慮な振る舞いをするのはやめましょう。祖父母に手伝ってもらったときは感謝の気持ちをしっかり伝えることが大切です。そのときは「すみません」というネガティブな言い方よりも「ありがとうございます」「本当に助かります」などのポジティブな言い方をするよう心掛けましょう。後者の方が言われた側はうれしく感じるからです。

 家事代行やベビーシッターなどの有料サービスを利用するのもおすすめです。有料ということで最初はハードルが高いと感じるかもしれませんが、慣れてうまく使えるようになれば、かなり楽になる可能性があります。この他にも託児所、保育園の一時預かり、行政や民間の各種サービス、子育て支援のNPOなどもあります。

 子育てには悩みが尽きないものですが、それを1人で抱え込むのが一番よくありません。例えば、自治体やNPOなどが運営する「子育てサークル」はママ友づくりや子育ての仲間づくり、情報交換、助け合いなどに役立ち、孤立化を防ぐのに効果的です。同じような悩みを抱える人たちが集まっているので、悩みや愚痴を聞いて共感してもらえるだけでも精神的に楽になります。

 なお、子育てサークルに参加する際は新型コロナウイルスの感染防止対策をしましょう。最近はオンラインの子育てサークルもあるようです。また、各自治体の子育て無料相談窓口、保健センター、子育て支援センター、児童相談所などでは子育てに関する悩みを聞いてくれます。児童相談所全国共通ダイヤル「189」に電話をすれば、24時間いつでも最寄りの児童相談所につながる仕組みになっています。

 他にも「子育てホットライン ママさん110番」(社会福祉法人日本保育協会)、「エンゼル110番」(森乳コミュニケーション)、「よりそいホットライン」(一般社団法人社会的包摂サポートセンター)などがあり、「子育て 悩み相談 自治体名」とネットで検索すれば、各地域の相談先がいろいろ出てきます。どの相談窓口も秘密厳守なので、気軽に相談しましょう。

 なお、相談員にもいろいろな人がいるので相談してみて、「ちょっと違うな」と思ったら、別の相談窓口に問い合わせてみてください。何度も言いますが、子育ては1人で悩みを抱え込まないことが大切です。悩んだら、家族や他人の力を借りてうまく乗り切っていきましょう。

(教育評論家 親野智可等)

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親野智可等(おやの・ちから)

教育評論家

長年の教師経験をもとにブログ「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」、ツイッターなどで発信中。「『自分でグングン伸びる子』が育つ親の習慣」(PHP文庫)など、ベストセラー多数。全国各地の小・中・高校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。公式サイト「親力」で新書3冊分のコラムが閲覧可能。公式サイト「親力」(http://www.oyaryoku.jp/)、ツイッター(https://twitter.com/oyanochikara)、ブログ「親力講座」(http://oyaryoku.blog.jp/)。

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