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流行を敬遠、あまのじゃくの39歳女性 「鬼滅の刃」をあえて見ないアラフォーたち

漫画「鬼滅の刃」にハマる老若男女が増えていますが、中には映画を「あえて見ない」、漫画を「あえて読まない」というアラフォー世代がいます。その理由とは。

「鬼滅の刃」最終巻(2020年12月、時事)
「鬼滅の刃」最終巻(2020年12月、時事)

 大ヒット漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」(以下、鬼滅)は、10月16日に公開された劇場版アニメの興行収入がいよいよ、歴代ランキング1位の「千と千尋の神隠し」を追い抜こうとするなど勢いが続き、老若男女が続々とハマっている状況です。筆者を含むアラフォー世代も例外ではなく、子どもの影響や友人のすすめでハマる人が大勢います。

 しかし、そのような中にあって、鬼滅を「あえて見ない、読まない」という態度を貫く人たちも少なからず存在します。今回は彼らに「なぜ、鬼滅を避けるのか」インタビューしました。

ブームが落ち着いたら見るかも…?

「たとえ興味があるものでも、流行していると何となく敬遠してしまう」という“流行しているものが苦手”な人たちがいます。Aさん(39歳、女性)もその一人です。

「大勢の人が『いい!』と騒いでいるものに自分も乗っかるのって、ミーハーになってしまう気がして、何となく嫌なんですよね。昔からそうです。鬼滅の評判はいろいろなところで見聞きするので、『本当に面白いのかもしれない』とは思うのですが、それで見たくなるわけではなく、『みんな、ミーハーなんだな』と思うだけです。『自分はそこに交ざらないようにしておきたいな』と。こういう性格なので、いい評判を見聞きすればするほど遠ざけたくなってしまいます」(Aさん)

 Aさんの“あまのじゃく”的な気質は筆者も多少あるので理解できます。流行に乗らないのはそれなりに気力が必要ですが、それによって、アイデンティティーを自分なりに守っている、あるいは貫いているわけですね。もちろん、流行を柔軟に取り入れるスタイルもアイデンティティーの在り方の一つなので、どちらが良い悪いという話ではありません。

「周りには『なんとなく見ていない』と話しているのですが、みんな、口をそろえて、『見た方がいい!』と強引にすすめてきます。『気が乗らないなあ』とのらりくらりかわしていますが、このやりとりも疲れるので、できれば早いところ、ブームが過ぎ去ってほしいと思っています。ブームが落ち着いて、しばらくしてからだったら、見るかもしれません」

 第三者としては「やりとりで疲れるくらいなら見ればいいのに」と思いますが、それをしない、あるいはできないのがAさんらしさなのでしょう。あまのじゃくな人にとって、鬼滅ブームが支配する世の中は居心地が悪いようです。

残酷シーンの影響を懸念

 劇場版「鬼滅の刃」には「PG-12」というレイティング(映画倫理機構が定めた、映画鑑賞における年齢による鑑賞制限のこと)がされています。PG-12は「全年齢が視聴可能。ただし12歳未満は成人保護者の助言や指導が必要」というもので、つまり、誰でも見られるけれども少し注意が必要な作品ということです。

 確かに、鬼滅のテレビアニメ版でも残酷な描写が見られ、ネットでは「よく首が飛ぶ」と言われています。子どもを持つアラフォー世代の中には例えば、Bさん(37歳、女性)のように残酷な描写を嫌って、鬼滅を避ける人がいるようです。

「自分が子どもの頃、どのアニメだったか忘れましたが、人が死ぬシーンを見て、かなり怖くてトラウマになりました。うちの息子(5歳)にはそういうものは見せたくないと考えています。息子が通っている保育園でも、鬼滅は大人気で、息子は『(アニメ版を)見たい』とせがんできます。友達との話題についていけない息子を思うとかわいそうですが、心を鬼にして、『もう少し大きくなってからね』と言い聞かせています」(Bさん)

 一方で、Bさん自身は鬼滅がかなり気になっているそうです。

「子どもに見せるかどうか判断するためにアニメを何話か見たのです。その上で『残酷だから、子どもに見せるのは不適切だ』と判断したのですが、私個人はあの話の続きがすごく気になっています。でも、子どもに隠れて見るのは裏切りのような気がするので我慢の一択です」

「(保育園の)周りの子もみんな見ているから大丈夫だろう」と思いたいところをグッとこらえて、Bさんは自分の判断を貫いています。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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コメント

3件のコメント

  1. 1.筆者自身「おすすめ」の立場で書いておられますから、どうしても「見ない派」の旗色が鮮明でない印象を与えていますね。
    2.私が見ようとも思わない理由
    (1)絵が子供っぽくてキライ。
    (2)筋書きと道具立ては所詮先蹤作品の焼き直しと混淆。例えば「無限列車」は『銀河鉄道の夜』。手塚漫画「どろろ」。あるいはうんと古くラジオ放送劇「紅孔雀」。
    (3)登場人物の名前がかつての暴走族を思わせる難訓漢字。原作者の名もまた。
    (4)「進撃の巨人」同様、悪役が所与のものとして設定されている。
    (5)時代設定が大正時代ということらしいが、それだったら炭治郎達の行動は銃刀法違反。
    (6)いい大人が恥ずかしげもなく漫画とアニメの話でしか盛り上がれないという情けなさ。

  2. 事件が起きその容疑者がちょっとアニメ好きだったときにさもアニメ好きだから事件を起こしたかのように「犯人はアニメ好き!犯人はアニメ好き!!」って偏向報道しまくりのマスコミが手のひらクルーしてあっちもこっちも鬼滅鬼滅言うのは流行を捏造する目的かなーとしか見てないなあ。
    特定のタレントをゴリ押ししてたのが今度はアニメに置き換わっただけ、と。

  3. 40歳が見るもんじゃないだろうに