リアルな“嫌われ者”保険屋が考える「嫌われる勇気」
アドラー心理学のベストセラー「嫌われる勇気」のタイトル通り、私たちの多くは「嫌われること」に大きな恐怖心を抱えています。その恐怖心は克服できるのでしょうか。嫌われ者の代表格とも言える“保険屋”の筆者が考察します。

アドラー心理学を分かりやすく解説した本で140万部以上を売り上げた「嫌われる勇気」は「承認欲求を否定する」「すべての悩みは対人関係」など、現代に生きる私たちにさまざまなヒントを提示してくれます。
しかし、この本の最もインパクトがあるのはその題名。いかに多くの方が「嫌われる」ことを気にしていて、そこから自由になりたいと願っているかを表しています。しかし、本を読んだところで、果たして「嫌われる勇気」を持てるものでしょうか。
「露骨に嫌な顔をされる保険屋」
筆者は生命保険のセールスとして10年以上のキャリアがありますが、保険屋というのも「嫌われる」職種の一つです。「名刺を出して嫌がられるのはヤクザと保険屋だけ」などと言われますが、まさにその通りで、保険屋だと分かった瞬間、露骨に嫌な顔をされることも少なくありません。「保険=勧誘」というイメージがあるからでしょう。
とはいえ、このイメージは決して的外れなものではなく、保険屋も商売人なので心のどこかで「もしかしたら加入してくれるかも」という期待を持っているのも事実。自分でも嫌になりますが、これはある種の「職業病」です。この業界にはとてもしつこい人間が多く、過去に嫌な思いをした方もいるかもしれません。
とにかく「嫌われる」宿命の保険屋稼業ですが、この仕事に就いた当初、今まで友人・知人だと思っていた人に冷たい態度を取られた上、電話に出てもらえないなどの拒否反応を示され、精神的にキツかった記憶があります。実際、これに耐えられずに早々と業界を去っていく人も少なくないのです。
当時は悲しく、時には腹が立つこともありましたが、そもそも保険業界に転職したのは私の事情であり、その理由はやればやっただけ給料をもらえる「成果主義」、つまりはお金でした。いくら泣き言を言っても「だったら転職しなければ」と言われればそれまで。しかし、それを重々承知の上でも「嫌われる」ことはつらいのです。
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