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ドル下落基調はトランプ氏の「政治手腕」によるものか

9月にデットシーリング引き上げ問題

 とりわけ、トランプ大統領が国防費を除く540億ドルの歳出削減を要求していたのに対し、予算決議案は50億ドル削減にとどまりました。また、決議案は税制改革とその財源としての10年間2030億ドルの給付金削減をうたいましたが、詳細は明らかにされませんでした。

 議会は9月4日まで夏休みで休会となるため、その前に予算決議案が可決されるとしても、具体的な予算編成は9月5日以降となりそうです。議会がトランプ大統領の意向を無視したまま予算編成を行うのか、同大統領がそれに拒否の姿勢をみせるのか。また、短期間に税制改革の詳細を詰めることができるのかなど状況は非常に不透明です。

 9月に入ると、デットシーリング(債務上限)の引き上げが喫緊の課題になるでしょう。議会予算局(CBO)によると、財務省の資金繰りは10月上旬までは問題ないようですが、税収など不確実な要素もあるため、政府のデフォルト(債務不履行)を回避するために、早めの対応が必要となるかもしれません。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を進める一方、日銀が現行の金融緩和を継続すれば、ドル/円はいずれ上昇すると考えられます。ただし、ワシントンの混乱がドルに下落圧力を加える状況がしばらく続くかもしれません。

(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)

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西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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