ドル/円は115円を超えるのか? その鍵は米金融政策にあり
大幅な利上げはもう必要ない?
ところで、FRBがリーマン・ショック後の極端な金融緩和策の正常化を進めるなかで、利上げと並ぶもう一つの柱がバランスシートの縮小です。FRBは2014年秋に量的緩和(QE)を終了しましたが、それまでに購入した大量の債券(国債と住宅ローン担保証券)を保有し続け、満期を迎えた債券は再投資を行って残高を維持しています。この再投資を徐々に減らすことで、膨れ上がったバランスシートを縮小しようというのです。
イエレン議長らFRB関係者の最近の発言を見ると、バランスシートの縮小を「早期に」開始することがほぼ既定路線になっています。市場では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表され、10月にも開始されるとの見方が有力です。その影響を見極めた上で、追加利上げは早くても12月ということかもしれません。
FOMCのメンバーでもあるブレイナードFRB理事は11日の講演で、利上げとバランスシート縮小に関して「国内経済に対しては同様の引き締め効果を持つが、為替レートへの影響は利上げの方が大きい」と発言しました。その通りならば、ドルが上昇し始めるのはバランスシート縮小開始よりも、次の利上げ観測が高まった時ということになりますが、果たしてどうでしょうか。
イエレン議長の証言で一つ気になったのは、政策金利の中立水準(景気を刺激も抑制もしない水準)が過去に比べて相当低くなっており、そこに到達するために大幅な利上げは必要ないと述べたことです。
6月に公表されたFOMCメンバーの政策金利見通し(中央値)によれば、2018年に3回、19年に3~4回の利上げが想定されていました。今後も景気は過熱しない、従って中立水準を超えた利上げは必要ないとなれば、来年以降の利上げは絵に描いた餅に終わるでしょう。仮に年内に利上げが実施されても、そこで打ち止め感が台頭するならば、ドルの方向性が根本的に変わる可能性もあります。ドルはそこがピークになりかねません。
(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)

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