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汚い持ち方は悪印象? 正しい「箸」の持ち方とは 大人でも矯正できる?

大人になっても矯正できる?

Q.誰かと食事を共にしたとき、相手の箸の持ち方が気になるという人は少なくないようですが、箸の作法が与え得る印象についてどう思われますか。

齊木さん「日本人にとって、箸は単なる道具ではなく、神様の魂が宿るものと信じられてきました。だからこそ、食事の作法の中でも箸使いは重要視され、箸の上げ下ろしに人格や品性が出るといわれています。きちんと食に向き合い、しつけを受けた人からすると、相手の箸の持ち方が気になるのは当然のことです。

正しく箸を持てる人は『家庭内でしつけをきちんと受けてきた、しっかりした人』という印象があります。逆に、箸の持ち方が得意でない人は、しつけができておらず、人や物への配慮に欠ける印象です。また、箸を正しく持てないと、箸の可動域が狭くなって挟む力も弱まるため、豆や麺をつかめなかったり、魚を上手に食べられなかったりします。

そうなると、食べ物を突き刺したり(刺し箸)、寄せたり(寄せ箸)、かき込んだり(込み箸)といった、箸の不作法な使い方である『忌み箸』になる傾向があります。これらは、食事を共にする相手によっては強い不快感や、不潔という印象を持ち、二度と食事の席を共にしないことにもなりかねないので、注意が必要です」

Q.ネット上では、大人になったわが子の箸の使い方を見て、「幼い頃に正しい箸の持ち方をしっかり教えておけばよかった」と後悔する親や、「今からでも間に合うなら矯正したい」と思う人も多いようです。

齊木さん「昔から『箸の使い方を見れば、人柄や育ちが分かる』といわれるほど、日本人が箸使いを重んじるのは、丁寧に生きているかどうかが見えるからです。『いただきます』という言葉があるように、植物・肉・魚、全てにおいて私たちは、命を頂くことによって生きています。食前に手を合わせるのは、生き物を頂くことへの感謝を表しているのです。

箸の持ち方は矯正できます。箸の持ち方が正しい人は豆腐や豆などのつかみにくい食べ物でも、丁寧に命を口に運べます。おのずと姿勢がよくなりますし、食に対する見方が変わり、周囲に不快な思いをさせない心配りや、他人を思いやる心が養われていきます。正しい箸の持ち方ができると、人生がより豊かになるかもしれません。

日本では、全てのものに命が宿ると考えられてきたため、命をつなぐ『橋渡し』から『箸(はし)』と名付けられたとの説もあります。こうした歴史を知ると、箸に対する考え方も変わってくることと思います。日本独自の文化も交えて伝承していけたら、すてきではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

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