定年後に働くと年金カット!? 「月65万円超え」で支給停止に…手取り減らさない“攻めの働き方”とは【FP解説】
シニア世代が損をせずに長く働くための注意点とポイントについて、FPに聞きました。

年金だけでは生活が苦しく、パートに出て家計の足しにしている人も少なくないでしょう。実は、老齢厚生年金を受給しながら働く場合、給与と年金の合計が一定額を超えると年金の一部もしくは全部が支給停止になってしまいます。せっかく働いたのに手取りが変わらない、むしろ減ってしまうという事態もあり得るため注意が必要です。
シニア世代が損をせずに長く働くための注意点とポイントも合わせて、年金制度に詳しい1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)で元小学校教諭のもっちゃんさんに聞きました。
給与と年金の合計が「月65万円」を超えると年金カット対象に
Q.60歳以降も働きながら厚生年金を受け取る際、給与と年金の合計額がいくらを超えると年金が一部・全額支給停止(在職老齢年金)になりますか。
もっちゃんさん「これは在職老齢年金という仕組みで、基準になるのは給与と年金の合計額で65万円です。合計65万円を超えた場合、在職老齢年金によって超えた金額の半額の年金が支給停止になります。
ちなみに、支給停止基準額は従来51万円でしたが、2025年に制度改正があり、2026年4月から65万円に引き上げられました。働き過ぎてもカットされる幅が減ったため、以前よりは働きやすくなったと思います。
ただし1つ注意点があり、在職老齢年金によってカットされるのは老齢厚生年金のみです。個人事業主やフリーランスの人が受け取る老齢基礎年金にこの仕組みはないため、どれだけ稼いでも年金は全額支給されます」
「月65万円以内に抑える」か「あえて気にせず稼ぐ」か
Q.せっかく働いたのに年金をカットされて手取りが変わらなかったり減ったりしてしまう事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。最適な働き方・調整方法はありますか。
もっちゃんさん「これは非常にシンプルで、給与と年金の合計額を65万円以内に抑えることです。総報酬月額相当額や基本月額という考え方に基づき判断されますが、要するに毎月もらう給料と老齢厚生年金の月額を足して65万円以内に収める必要があります。合計額を65万円以内に収めればカットされることもないため、年金を満額受け取ることが可能です。
個人事業主やフリーランスの方に関してはいくら稼いでもカットされない仕組みになっているため、これはあくまで厚生年金に加入する会社員や公務員の人に限定した話になります。
私もよく『65万円を超えないようにした方がいいですよね?』というご相談を受けるのですが、あえて調整しないで働けるだけ働くというのも一つの選択です。というのも、受け取る金額が大きければ大きいほど収入は増えるため、老後の生活が豊かになるのは間違いありません。調整が入るのはあくまで65万円を超えた分の半額ですので、年金のカットを恐れて就労を抑えるより、稼げるだけ稼いで手取りの総額を増やした方が生活水準は上がると思います。実際にはご自身の体力次第にはなりますが、元気であれば頑張って手取りを増やす働き方もおすすめです」
制度改正を踏まえた「損しない」キャリア設計
Q.2024年から2026年にかけて行われた年金制度改正を踏まえ、シニア世代が損をせずに長く働くための注意点とポイントを教えてください。
もっちゃんさん「先述のように2026年4月から、在職老齢年金の支給停止基準額が従来の51万円から65万円に引き上げられました。これにより、今まで年金をカットされていた多くの層が、全額受給できるようになったと思います。そのため、年金が減るから就労を抑えるという判断が本当に妥当なのか、以前にも増して考える必要があるのではないでしょうか。
また、在職定時改定という仕組みを活用する方法もあります。在職定時改定とは、65歳以降も働きながら厚生年金の保険料を納めると、毎年1回前年分の納付実績が反映され、増額された年金を受け取ることができる制度です。また、国として社会保険の適用拡大に取り組んでおり、徐々にパートやアルバイトといった短時間労働者も厚生年金に入りやすくなってきています。
確かに手取りは一時的に減ってしまいますが、将来もらえる年金が増えるのは大きなメリットです。今回の改正の背景には、高齢者も就労意欲を失わず、ずっと働いてもらいたいという政策的な狙いがあります。つまり、今後は年金制度に合わせて働き方を狭めるのではなく、健康で長く稼ぎ続けるキャリア設計が大事になってくると思います」
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60歳以降も働きながら厚生年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が65万円を超えると年金が一部支給停止になります。2026年4月から支給停止基準額が引き上げられたため、今後は年金制度に合わせて働き方を狭めるのではなく、なるべく長く稼ぎ続けるキャリア設計が重要になるでしょう。
(オトナンサー編集部)

















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