米FRBがバランスシート縮小へ具体策、その中身とは?
バランスシート半減は4年以上必要?
ただし、保有債券の売却が債券市場に打撃を与えかねないことから、FRBは慎重に事を進めようとしています。そのため、当面は債券を売却せず、満期償還された債券の再投資を停止することで残高を漸減させる方針です。
再投資の停止は、まず月間100億ドル(国債60億ドル+住宅ローン担保証券40億ドル)でスタートし、3カ月ごとに100億ドルずつ上乗せされます。再投資の停止は1年後に月間500億ドルになり、その後はそのペースでの停止が続きます。
現在のFRBのバランスシートは約4.5兆ドル。筆者の計算では、バランスシートが半減するまで4年以上かかります。リーマン・ショック前のFRBのバランスシートは1兆ドル弱。当時に比べて経済規模が拡大し、適正なバランスシートの規模も拡大しているとしても、正常化には相当長い時間がかかるということです。
今回の声明文には「経済情勢がほぼ想定通りに進展するなら、バランスシート正常化プログラムの年内開始を想定している」とありました。まず、FRBの想定通り米景気の堅調が続くのか、そして物価が目標である2%に接近するのか。さらには、FRBが先進国中央銀行の先頭を切ってバランスシートの縮小を開始した場合、内外の金融市場にどのような影響を及ぼすのか。興味を持って見守りたいと思います。
(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)
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