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全戸配布の「アベノマスク」到着、布マスクには弱点? どう使えばいい?

政府が全戸配布する布マスク、いわゆる「アベノマスク」ですが、もし使うとしたら、どう使えば効果があるのでしょうか。

政府からの配布が始まった布マスク
政府からの配布が始まった布マスク

 新型コロナウイルスの流行を受けて、マスク不足が懸念される中、政府が全戸に2枚ずつ配布する布マスクの発送が4月17日に始まりました。

「アベノマスク」とやゆ気味に呼ばれたり、不良品混入の懸念から再検品をしたりと、受難続きですが、市販のマスクが手に入らない人にとっては、貴重な存在かもしれません。ただし、布マスクは使い捨てタイプの不織布マスクに比べ、弱点もあるとされています。

 アベノマスクしか手元にないとしたら、どう使えばよいのか、内科医の市原由美江さんに聞きました。

キッチンペーパーで弱点を補強

Q.一般的に、マスクは新型コロナウイルスに関して、どのような効果が期待できるでしょうか。布マスク、不織布マスクに共通していえることを教えてください。

市原さん「そもそも、マスクは風邪などの感染症にかかっている人が装着し、せきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)が周囲に拡散することを防ぐためのものです。『新型コロナウイルスは、感染していても症状のない人が多い』との報告がある今、気付かないうちに感染を広げてしまうことを防ぐため、マスクを着けるという意味合いが強まっていると思います。

一方、未感染者が予防目的で着ける意味は、限定的ですが、あります。マスクを着けていると、もし飛沫が飛んできても、直接鼻や口にウイルスが付着することを防ぐので、ウイルスに感染する可能性を低くすることができます。また、ウイルスの付着した手で鼻や口を触ることでもウイルスに感染しますが、マスクで物理的に防ぐことができます。

ただし、マスクの繊維の隙間に比べてウイルスは小さいので、飛沫に含まれたウイルスはいずれ、マスクを通過してしまいます。そのため、マスクをこまめに交換する必要があります。

また、マスクをすることで飛沫が直接、鼻や口に触れることは防げますが、目に飛沫が当たってウイルスが付着した場合、ここから感染する可能性もあります。マスクをしているからといって、予防としては完全ではありません」

Q.布マスクと不織布マスクの違いを教えてください。

市原さん「布マスクはガーゼなどを重ねて作られているので、繊維の目が粗く、細菌やウイルスが通過しやすい構造です。また、布マスクは水分を吸収するので、ウイルスを含んだ飛沫がマスクの内側まで浸透する可能性もあります。

つまり、布マスクは感染予防効果はかなり低いのですが、自分の飛沫を周囲に拡散させない効果はある程度期待できるため、先述したように、感染拡大予防の目的で使用するのは有効です。

一方、不織布マスクは繊維の目が布より細かく、5マイクロメートル程度の粒子を止めることができます。ウイルスは0.01マイクロメートル程度、細菌は1マイクロメートル程度の大きさで、これらを含む飛沫は5マイクロメートル程度です。布マスクよりも確実に飛沫の飛散を防げます。ただし、感染予防効果を過剰に期待するのは禁物です」

Q.布マスクの弱点をカバーする方法があれば教えてください。

市原さん「先述したように、布マスクは繊維の目が粗く、フィルター効果が弱いことが弱点です。布マスクのガーゼの間にキッチンペーパーやティッシュペーパーを挟むと、フィルター効果は上がるでしょう。工夫をすることで、布マスクでも感染予防効果をある程度は期待することができます」

Q.布マスクが小さい場合、鼻からあごまで覆えないことがあります。どのようにその弱点をカバーすればよいのでしょうか。政府配布マスクは横13.5センチ、縦9.5センチです。サイズとしては、やはり小さいでしょうか。

市原さん「一般的な不織布マスクは、横17.5センチ、縦9.5センチです。政府配布の布マスクは横幅が小さいですが、大人でも鼻や口は納まるサイズと思います。

縦幅については、不織布マスクは通常プリーツ(折りひだ)があるので、口を動かしたり話したりしてもマスク自体が動くことはありませんが、この政府の布マスクは簡単にマスクが動いてしまいますね。マスクがずれると手でマスクの位置を動かすことになりますが、感染予防の観点からはマスクをなるべく触らないことが大切です。

布マスクがずれないよう、なるべく話さないようにしたり、耳ひもの長さをぴったりフィットするように調整したりする必要があります。

さらに、洗濯すると縮むので、マスクがずれないようフィットさせることが難しくなるかと思います。その場合、小さくなったマスクを無理して使うのではなく、自分のサイズに合ったマスクを使うことをおすすめします」

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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