じわじわ忍び寄る「熟年離婚」 突然切り出されたら、さあどうする!?
熟年離婚は今そこにある危機
夫は週1回帰宅するかしないかの状況で、家にいるときは険悪です。夫に対する愛情はなくなっているのに、1人で大きな家に住むことのむなしさ。実家の母は年老いて兄夫婦と同居しており、今は頼りになりません。どうすれば、中途半端な状態から抜け出せるか。典子さんは悩み抜きます。本やインターネットで調べ、私のところにも相談に来ました。
そして、家と家具、夫名義の貯金の半分、さらに夫に近々支給される退職金を3分の2もらうという条件で離婚しようと決意。弁護士経由で佳孝さんに条件をのんでもらいました。その後、パートの仕事を増やし、老後資金をせっせとためています。何かあれば家を売る覚悟もあります。1人暮らしには慣れてきたので、むしろ気持ちはすっきりした…と。
典子さんは、浮気をした夫に腹が立たなかったという時点で、「夫婦としては終わっていた」と気付いたそうです。夫に「能面をかぶった妻」と言われ、確かに、お金のために淡々と暮らしてきたことも自覚できたといいます。幸せな結婚ではなかったので、これから幸せになりたいと前を向いています。
私は典子さんに、もちろん再婚を勧めています。
夫の気に入らない部分だけに目を向けるのではなく、自分の結婚観に気付くことができた。これは成長です。夫側も仕事優先で家のことを妻任せにし、結果、文句を言うというのも公平ではありません。両者ともに反省点があります。
転勤中でも、せめて一緒にいるときは愛を育む時間を過ごすことで、夫婦愛は冷え込まなかったかもしれません。単身赴任家庭でも仲良し夫婦はたくさんいます。
熟年離婚したいほど相手のことが嫌な人は無数にいますが、離婚に踏み込まない人はどこかで、「結婚なんてこんなもんだ」と諦めていたり、「日々の生活に困らないのであれば仮面夫婦でいい」と妥協していたりする傾向があります。
もちろん、2人がクールな日常に納得していれば問題はありません。ただ、相手から突然「別れたい」と突き付けられたときの動揺は半端なものではありません。経済的弱者の方は途方に暮れます。その上、健康面の問題が現れる年代でもあり、老後を1人で過ごす体力と気力が継続するかという不安も襲います。
相手のことを愛しているわけでもなく、楽しくもなく、ただ一緒にいるというお二人に告ぐ。「熟年離婚は今そこにある危機」という危機管理意識を持ってください。
「地震、雷、火事、熟年離婚」。それくらい、突然降ってくる困難な事象という位置付けを自覚すれば、目の前のパートナーに優しい気持ちを持つことができます。
(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

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