じわじわ忍び寄る「熟年離婚」 突然切り出されたら、さあどうする!?
転勤族の夫との、29年間にわたる結婚生活に終止符を打った女性のケースから、「熟年離婚」について考えます。

先日、NHKラジオで「中年の再婚」という特集が組まれ、高橋ジョージさんと一緒に「再婚」についてトークをしました。中年って何歳から何歳なんだと改めて考えましたが、想像できず…NHK放送文化研究所では「40.0歳から55.6歳」と解説していました。
私は「中年」という言葉より、「熟年」という言葉を好んで使います。「成熟した大人」というすてきなイメージがあるからです。50代で離婚したお二人を「中年離婚カップル」とするより「熟年離婚カップル」と示す方が、「よくよく考えてきれいに離婚されたに違いない」と感じるのです。
ちなみに、一般的には、結婚して20年以上たった夫婦が離婚することを「熟年離婚」といいます。
転勤族の夫に離婚を突き付けられ…
さて、私はポジティブな「熟年再婚」を勧めていますが、再婚は“離婚ありき”です。熟年離婚したことで、結婚しているときより不幸になっては元も子もありません。「経済的に困窮する」「病気になって看病する人が誰もいない」など、ネガティブな話ももちろんあります。
熟年離婚して、完璧に幸せと言い切る女性。精神的には安定して満足だけど、生活の質が下がったと嘆く女性。精神的に幸せだから、節約生活も気にならないという女性――。熟年離婚後の「気持ち」と「生活状態」が、てんびんにかけられることが多いのですが、捉え方は人それぞれです。財産分与で老後も心配ないほどの資産をもらったものの、子どもと相続でもめ始めたという人もいます。
実際の熟年離婚事例を見てみましょう。
典子さん(仮名、57歳時に離婚)は、転勤族の夫・佳孝さん(仮名)との29年間の結婚生活に見切りをつけました。夫は1歳年上で、電気関係の会社勤務です。2人は20代の頃、東北地方の支社で知り合って職場結婚。子どもができるまでは、夫の転勤地について行っていました。
子どもが生まれてからは、典子さんの実家近くの東京郊外に家を買い、佳孝さんが単身赴任をすることに。子育ては実家の母の応援の下、典子さんが1人で担います。夫は役職が上がったり、海外出張もあったりして生き生きと社会に出ているのに、自分は進歩なく、このまま年を取っていくのかと、漠然と不安を感じるものの夫に言えずに過ごしました。
典子さんは20年間、子どもの教育に注力します。子どもは偏差値が高い高校と有名私大を卒業し、大手代理店に入社。子どもの手が離れてからはパートの仕事を始めたり、陶芸を習ったりと、やっと「自分」を意識した生活を始めましたが、そこで佳孝さんから離婚を突き付けられます。
理由は「たまに家に帰ってもうれしそうな顔もせず、事務的な会話しかない」「子どもに自分の価値観を押し付け、勉強を無理にやらせた。教育に対する考えを言っても聞く耳を持たなかった」。極め付きの言葉は「能面を着けているような冷酷な妻のために、給料を運ぶだけの存在になりたくない」でした。
もちろん、典子さんはすぐには離婚に応じません。探偵をつけて探ると、佳孝さんが、同世代の女性と付き合っていることが分かりました。典子さんは、離婚すると生活に困窮すると思っていたので、責めることなくそのまま約2年放置することに。
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