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悩ましき現代社会の寵児「うつ」をサバイバルする

今求められる、うつと共存するスキル

 最近、うつに関する報道が激減しています。あまりにもうつが普遍化したために、ニュースバリューがなくなったからでしょう。人が犬を噛めばニュースでしたが、みんなが犬を噛みだしたらもはやニュースにもならないというわけです。うつが身近な存在になったということは、うつを「今、そこにある危機」と考えることができます。しかし、今の日本社会にはうつを治すのではなく、視点を変えれば、共存するスキルが求められているのではないでしょうか。

 自殺防止にうつ治療だけで対処すればよいという物語は、そろそろ終わりにしたほうが本当の意味での自殺防止策が見えてきます。そのためには、政府やマスコミが流布した「うつの常識」を再チェックする必要性があります。誤解や曲解、根拠のないデマゴーグが浮き彫りになってくるかもしれません。あるいはうつを医療枠だけで考えるのではなく、社会や経済とリンクした社会問題として議論する時代なのかもしれません。

 そうしたうつ理解の転換こそが、うつのつらさを和らげ、自殺を防ぐ方策を導くかもしれないからです。英語でうつは「depression」、不景気も「depression」です。うつは病院の中だけではなく、不景気同様に社会で起きている病なのです。

(フリージャーナリスト 上野玲)

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上野玲(うえの・れい)

フリージャーナリスト

1962年東京生まれ。早稲田大学文学部卒。著書に「ルポ がんの時代 心のケア」(岩波書店)、「うつは薬では治らない」(文春新書)など。

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