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「出生前診断」で分かるのは一部、どんな子も受け入れるのが「親」

経済的援助は受けられる

 人は「分からないこと」や「見えないこと」に不安を持つものです。「第1子に染色体異常があったので、第2子については検査を受ける」という人や、「親亡き後、他の兄弟に大きな負担がかかるから」などと考え、産まない選択をする人もいます。

 家庭によってさまざまな事情があるので、否定はできません。中には「うちにはお金がないから、障害児を育てられない」と漠然と考え、中絶する人もいます。

 しかし、経済事情の面でいえば、障害のある子どもを育てている家庭にはさまざまな経済的援助があります。特別児童扶養手当や障害者福祉手当、障害基礎年金、特別障害者手当、交通費の減免、所得税・住民税・相続税の税控除など税制上の優遇措置を受けることができるのです。

 教育費に関しても、義務教育の間は特別支援学校や支援学級も無償です。また、東京都の場合ですが、特別支援学校高等部も月額100円(年間1200円)と、都立高校より授業料は低くなっています。

 親亡き後、グループホームで暮らすとしても、賃料は食費・光熱費を含めてもおおむね月6万円程度です。法定雇用率による障害者枠で就労して得る給料と、20歳から受け取れる障害者年金で賄えるでしょう。親亡き後のために大金を残す必要はありません。

 発達障害児かどうかは出生前診断では判明しませんが、少なくともこの検査で分かる染色体異常の場合は、療育手帳を取得でき、経済的援助があるので、「お金がかかる」ことを理由にして産む/産まないの決断をするのはどうなのでしょうか。

 実際にダウン症がある子どもの親の話を聞き、正しい情報を得て選択をしてほしいと思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

コメント

1件のコメント

  1. おかしな主張ですね。
    障害児が欲しい親はいません。
    ご本人もそうだから出生前診断を受けた。結果、セーフだと思ったのに別の部分でアウトだった。さぞお辛かったでしょう。
    だからと言って他の親が障害児を避けたいと思う気持ちを「そんなの親じゃない」と否定するのはおかしいでしょう。
    堕胎した9割は親ではなかったと言いたいのですか。自分だってそのつもりで検査したのに?
    「私がハズレを引いたんだからお前らも引けばいい」と聞こえます。
    私は、出生前診断を受けます。事前にわかるものだけでも避けたいのは当たり前のことです。
    障害があればおろします。経済的な支援の有無は関係ありません。
    一生自立できない「成人」しない、社会に貢献しない子どもの世話で人生を無駄にしたくないからです。
    社会人として暮らせる聴覚視覚障害と一緒にできるレベルではないですよね。
    わざとなのでしょうか。
    お子さんの障害を受け入れられないのはご本人なのかな、と思いました。お気の毒です。