「死んだらどうなるの?」 子どもに聞かれて何と答える? 「生と死」の伝え方
「生きる」ことから話し始める
Q.家族やペットの死をきっかけに、生と死に関する会話をする親子は多いようですが、こうしたきっかけがなくても親から死について教えた方がよいのでしょうか。
佐藤さん「親の方からわざわざ、死を話題にする必要性はないと思われますが、今の時代、『命の大切さ』というテーマはとても大事です。『生きているということは素晴らしいことなんだよ』という切り口での会話は、子どもたちの情操教育につながると思うので、死から入るのではなく、『生きる』ということをテーマに話していくのがよいと思われます。
先述の研究結果を踏まえると、時期については小学校低学年あたりが適切かと思います。ただ実際は、命の大切さを知ってほしいのは、むしろそれ以降の年齢なので、小学校高学年、中学、高校でこそ大事なトピックになってくると考えます」
Q.死について教わった子どもが、死を意識したり考えたりして怖がる様子を見せたとき、親や周囲の大人はどのように接するとよいのでしょうか。
佐藤さん「死という現実は、実際に子どもたちが理解するには重い内容なので心に負担がかかります。ペットの死などを機に、死に関して神経質になっていたり、怖がっていたりする場合は、『また、こんなことが起こったらどうしよう』と不安になっていることが多いです。
そのようなときは、『みんな元気にしているから大丈夫だよ』といったように、そうめったに起こることではないことを伝えて気持ちの高ぶりを緩和してあげて、いつも以上にスキンシップや会話を心掛けるのが望ましいでしょう」
Q.生と死について、子どもに教えることの難しさを感じている親は少なくないようです。
佐藤さん「今の時代、ゲームのバーチャルな世界に慣れ親しんでいる子どもたちも多いものです。そうした世界の中では、高いところから落下しても無傷だったり、倒れてもまた復活したりするなど、まるで命が2つも3つもあるような錯覚を感じさせることがあります。
子どもたちの自殺も問題になっている昨今だからこそ、命の大切さは伝えていきたいものです。大切なペットが身をもって教えてくれたメッセージを、子どもたちの生きる力に変えられたら、まさに“心の中に生き続ける存在”になってくれます。
『死』は誰にとっても重いテーマで、進んで話したいものではありませんが、その対極にある『生』を伝える場として捉えると、向き合いやすくなるのではないでしょうか」
(オトナンサー編集部)
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