人口減と少子高齢化を論じる前に、言わねばならないこと
現代でも通じる、二宮尊徳の価値観
私の郷土である足柄地域の偉人、二宮尊徳の言う「積小為大(せきしょういだい)」は、現代でも通じる価値観です。事を成し遂げるには、小さな一歩を積み重ねることしかありません。つまり、一日の過ごし方を真っ当な方向に変えるしかないのです。
早起きによって、町長としての生活が一変しました。人は内側から変わるもの。街づくりに挑む気迫が自然と宿るようになったと思います。精神が変われば、私の一挙手一投足も変化します。私が接する相手の態度にも変化が現れ始めました。たとえ和やかな場でも、凛とした空気に覆われました。
こうした自分の体験から、街づくりの基本は地域のリーダーが私利私欲なく街づくりに身を挺する、凛とした精神を持つことにあると確信を持つようになりました。この精神なくして、まともな街づくりはできません。
地方自治の現場で緩む精神
2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設「やまゆり園」で入所者ら46人が殺傷されました。犯人は施設の元職員で、障害者は「抹消すべき存在」であるかのような言葉を残していました。
施設管理を委託していた県のリーダー、黒岩祐治知事は事件直後の7月30日から10日間、夏季休暇を取っていました。日本中を震撼させるような事件が発生した直後、責任ある立場の人物が夏休みを取る神経が私には理解できませんでした。
地方自治の現場でリーダーの精神が緩んでいることを如実に示す出来事でした。西郷隆盛や二宮尊徳が生きていたならば、一喝したことでしょう。街づくりの基本が何なのかを問わなければならないのではないか、と焦りにも似た気持ちを抱きました。
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