人口減と少子高齢化を論じる前に、言わねばならないこと
近年、名門企業や政治家の不祥事が相次いでおり、その責任感の欠如が話題になっています。1998年2月~2011年3月に神奈川県開成町長を務めた筆者がリーダーシップと真の地方自治について語ります。
私は1998年2月、箱根山や丹沢山を仰ぎ見る神奈川県下の最小面積の町、開成町の町長に就きました。一気呵成(かせい)に成果を挙げて圧倒的な存在感を確立しようとおごっていました。無頼を気取り、町民と酒を飲み交わす日々が続きました。2年過ぎた辺りから体の調子が悪くなり、2000年の秋、45歳の誕生日を前に入院してしまいました。
誰よりも早く朝6時に出勤
しかし、ピンチにはチャンスがあります。入院は、意識変革の機会でもありました。お手本にしたのは、明治維新の立役者・西郷隆盛の「西郷南州遺訓」です。一番初めに書かれていた次の言葉に凛とした気迫を感じ、背筋がシャンとしたのを覚えています。
「廟堂に立ちて大政を為すは天道を行ふものなれば、些とも私を挾みては済まぬもの也」(執務室に入って政治を行うということは、天下の道を行うことなので、いささかなりとも私心を起こしてはならない)
町民から、街づくりに身をささげてほしいと託されているのに、飲んだくれて身体を壊してしまった自分が情けなくて、じくじたる思いでいっぱいでした。酒を断ちました。身を修めなくてはならない、私にとって小さな一歩でした。
それから朝6時、誰よりも早く役場に行くように心がけました。役場の業務が始まるまでの2時間、資料を懸命に読み込みました。当時はパソコンが普及してきた時代。町長ブログを始めて、朝から情報発信を行いました。
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