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年金支払い、不平等相続…“家族への迷惑”自覚し、32歳ひきこもり男性が復帰するまで

長男が出した結論は?

「お忙しいところ、すみません。ぜひともご報告したいことがあって、お電話しました」

 その声は喜びに満ちあふれていました。

「あれからいろいろありましたが、今月、長男が就職することになりました。正規雇用ではないのですが、本人もまずはそこから頑張りたいと言っているので、家族としても一安心です」

 母親によると、家族会議を何度か開いてしばらくたった後、長男が「みんなにそこまで心配をかけているのは、さすがに気が引ける。このままじゃいけないことは十分、分かっている。何とかしたい」と言い出したそうです。

 就労支援などを受けましたが、途中で通えなくなったこともありました。それでも、家族は長男を受け入れ、責めることはしなかったそうです。その後も一進一退を繰り返しましたが、いろいろな支援者に助けられ、無事就職することができました。

「お金の見通しを話し合い、家族も協力することを伝えたことが、長男が動き出すきっかけの一つになったと思います。相談に乗っていただき、ありがとうございました」

 母親は心底うれしそうにしていました。

 すべての家族でうまくいくとは限りませんが、「お金の見通しを共有し、家族の理解と協力があれば別の道が開けることもある」「世間の常識や『○○でなければならない』ということにとらわれる必要もない」と改めて思わされました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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