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年収2300万円医者と離婚、39歳女性が「養育費」の安定的支払いを勝ち取るまで(上)

クリニックを追い出され、立ち入り禁止に…

「それなら、俺一人でやっていくよ。お前らに仕事を邪魔されくないし、何をしようと自由だし、お前に文句を言われることもないからな! 望むところだ。別れたいなら別れてやるよ!!」

 夫は、そんなふうに食ってかかってきたのです。さらに「もう手伝うな!」と言い出し、里美さんをクリニックから追い出して、立ち入り禁止にしてしまったのです。翌週には、別の人を雇って里美さんの代わりに据えたようで完全にあてが外れた形です。里美さんは今まで散々、夫のために貢献してきたのに今回、不義理の形で厄介払いされたのだから、離婚しないわけにいかなくなってしまいました。

 ところで、里美さんが家を出る直前、夫から渡されていたのは毎月30万円。その中には、里美さんが夫のクリニックで働いた分が含まれておらず、すべて純粋な生活費だと思い込んでいました。

 そこで、離婚後も当然のように30万円を払ってほしいと頼んだのですが、夫は里美さんを無理やりクリニックから追い出しておきながら、「お前はうちで働いていないんだから、払う金はない!」と言い放ち、養育費を一銭も払わないという姿勢を示したのです。

 里美さんが「莉乃のことをちゃんと考えて!」と何度連呼しても、夫は裏切った里美さんへの怒りをあらわにするばかりで、らちが明かなかったので、里美さんは家庭裁判所に駆け込み、離婚調停を申し立てたのです。里美さんが筆者へ相談しに来たのはそんな矢先でした。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

行政書士(露木行政書士事務所代表)

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

注)離婚手続きに関して、個別事情を踏まえた離婚手続きや離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

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