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年収2300万円医者と離婚、39歳女性が「養育費」の安定的支払いを勝ち取るまで(上)

「医者」と離婚するということはどういうことなのか。年収2300万円の開業医と離婚した39歳女性のケースから考えます。

医者と離婚することの特殊性とは?
医者と離婚することの特殊性とは?

 突然ですが「離婚しやすい職業」は何だと思いますか。筆者は過去10年間で1万件以上の離婚相談を担当してきましたが、そんなふうに質問されたら迷わず「医者」と答えます。医者は約31万人、歯科医師は約10万人しかおらず(平成26年厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」)、普通の会社員より圧倒的に少ないのですが、お医者さんの離婚話を小耳に挟んだことが一度はあるのでは。

 どんなに立派なお医者さんでも、プライベートでは「ズレているなあ」と感じることが多々ありますが、特に男性医師は顕著です。

 例えば、年収2300万円も稼いでいるのに、住宅ローン(毎月12万円)の口座(給料振り込みとは別)に入金し忘れ、数カ月も延滞してブラックリストに入ったり、ただでさえ発覚しやすく、仕事への影響が大きい同じ病院の女医や看護婦に手をつけ、「パイプカットしたから」とうそをついて相手をはらませ、同じ病院で中絶手術を受けさせたり、小学校のPTA総会に参加する気がないので委任状を用意するとき、委任者と受任者どちらの欄に名前を書けばよいか分からなかったり…。

 お酒のトラブルで離婚したのに、筆者宛てにワインをプレゼントしてきたケースでは、苦笑するしかありませんでした。

 筆者も最初はプライドを尊重し、「立派なお医者さんなんだから、言わなくても分かるだろう」と説明を省いたところ、間違った書類を用意したり、署名の仕方を間違えたり、口座番号を間違えて振り込めなかったりすることが多発したので、現在は特別扱いをせず、他の職業と同じく懇切丁寧に説明するようにしています。

 今回は、筆者に来た「医者の離婚」の相談実例をもとに、医者の夫にどうやってお金を払わせるのか…医者特有の性格の難しさや考え方の偏屈さ、収入の複雑さを踏まえた上で、相手が医者だということを逆手にとって解決したケースを紹介しましょう。

 きっかけは、中学校の授業参観でした。石田里美さん(39)の娘さん(14)は付属の幼稚園から小学校、中学校と進学し、一見、順風満帆でした。しかし、せっかくのわが子の晴れ舞台なのに里美さんは上の空。顔は青白く、ため息交じりで、明らかに様子がおかしかったのです。

 そして、授業が終わり、娘さんが里美さんの涙に気付いて「どうしてママは泣いているの」と尋ねたところ、里美さんは思わず娘さんを抱き寄せたのです。感情のコントロールがままならず、人目もはばからずに泣き出したので、他の保護者も「どうしましたか」と声をかけてきたのですが、里美さんには、軽々しく口に出せない事情がありました。

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名、年齢は現在)>
石田順平(46歳) 医師(年収2300万円)
石田里美(39歳) 医療事務(年収300万円)
石田莉乃(14歳) 中学生

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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