液体は冷蔵、粉末は常温? 高温の夏「調味料」はどうやって保存すべき? 専門家に聞く
夏場は室温も高く、常温保存が可能なはずの調味料も少し心配になります。一方で、全部冷蔵庫というのも…正しい保存法を聞きました。

夏場は食中毒の危険性が高まることから、食材の保存に気を使う人は多いと思います。しかし、調味料の方はどうでしょうか。夏場は室温も高いので、常温保存が可能なはずの調味料も少し心配になります。一方で、本来常温で保存すべきものまで冷蔵、冷凍で保存すると、本来の味が損なわれないか心配です。おいしく安全な料理を作るには、どのような方法で保存すればいいのでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
お酢やみりんは常温保存可能
Q.調味料で常温保存した方がよいもの、冷蔵保存した方がよいものは。
関口さん「液体の調味料に関しては、お酢とみりん、油以外のものはすべて開封したら冷蔵保存してください。粉末状の調味料は常温保存が基本で、冷暗所と言われる場所、つまり、直射日光が当たらず、温度変化が少なく、湿度の心配がない場所に置くとよいでしょう。
大抵の調味料は、開封前は常温品で長い賞味期限が記載されていますが、あくまでも開封しない場合です。いざ開封してからは、空気による酸化や雑菌の侵入が起こります。調味料によっては、冷暗所であればすぐに劣化する心配がないものが多いですが、調べた限りでは商品パッケージに冷蔵保存を推奨する記載をしているものがほとんどです。特に、しょうゆは空気で酸化しやすいため、消費ペースにあった量を購入するとよいでしょう」
Q.お酢やみりんは、なぜ常温保存が可能なのでしょうか。
関口さん「強力な防腐作用があるためです。ただ、防腐作用が強力なのは純粋な醸造酢のみで、ポン酢や果実酢は不純物が含まれており、カビが付きやすいため、冷蔵保存してください。みりんはアルコール分が多いため、常温保存が基本ですが、アルコール分の少ないみりん風調味料は冷蔵保存してください。
油はカビの心配はありませんが、酸化を防ぐために冷暗所で保管し、1カ月以内に消費してください。えごま油や亜麻仁油(あまにゆ)のようなオメガ3脂肪酸の多い油は特に酸化しやすいため、開封後は冷蔵保存してください」
Q.粉末状の調味料はどうでしょうか。
関口さん「粉末状の調味料で代表的なものは塩と砂糖ですが、酸化や雑菌の繁殖もなく、保存状態によっては半永久的に傷まない調味料です。ただし、湿気に弱いので、密閉容器などに入れて保存します。スパイス類も冷暗所に保存するのが基本ですが、湿気や虫害を防ぎ、風味を維持するためしっかり密閉保存します。
冷蔵保存のメリットは、酸化スピードを遅らせ、カビや雑菌の繁殖を防ぐことであり、液体調味料はほぼ冷蔵保存です。粉状調味料は密閉、冷暗所保存が基本となります」
Q.本来、常温で保存すべき調味料を冷蔵保存した場合、劣化する可能性はありますか。あるとすれば、なぜでしょうか。
関口さん「常温保存できるお酢やみりんを冷蔵保存した場合、お酢は特に変化はありませんが、みりんは糖分の結晶化が起こることがあります。また、油に関しても白っぽく濁りが出たり、固まったりする場合があります。ただし、劣化するわけではなく、品質に問題はないので安心して使用してください。また、スパイス類などを長期間保存しておきたい場合は密閉し、冷凍保存するとよいでしょう」
Q.「常温保存」といっても、夏場は室温が30度を超える日もあります。夏場の常温保存の注意点は。
関口さん「常温保存の温度帯は15~25度程度です。常温保存の調味料は、カビが生えたり傷んだりする心配はありませんが、コンディションの良い状態で使うという観点からすると、夏場は野菜室に入れるか、発泡スチロールの箱に保冷剤を入れて使用すると安心です。そうもいかない場合は、通常より早めに消費するよう、購入時に内容量を検討するとよいでしょう」
Q.市販のカレー粉、カレールーは常温で保存しても問題ないでしょうか。それとも、冷蔵庫や冷凍庫で保存した方がいいのでしょうか。
関口さん「カレー粉は、密閉容器に入れて直射日光が当たらないよう保存すれば問題ありませんが、カレールーは開封したら冷蔵か冷凍で保存する必要があります。カレールーには、でんぷん質や油脂が多く含まれるため、温度帯によってはゆるくなったり、湿気を吸ってカビが生えたりする恐れがあるためです。カレー粉も香りが命なので、開封後は早めに使い切るとよいですが、長く保存したい場合はフリーザーパックなどに入れ、空気を抜いて冷凍保存することをお勧めします」
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