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上白糖、三温糖…白色と茶色でどう違う? いろんな「砂糖」の特徴と使い分け

料理に必須の調味料である「砂糖」には、さまざまな種類があります。それぞれにどんな違いや特徴があるのか、料理研究家に聞きました。

いろんな砂糖、どんな違いがある?
いろんな砂糖、どんな違いがある?

 料理に欠かせない調味料の一つである「砂糖」。砂糖と一口にいってもさまざまな種類があり、どれを使うかによって風味はもちろん、仕上がりにも違いが生まれるようですが、「普段は1種類しか使っていない」「料理によって使い分けてみたいけど、違いが分からなくて…」「白い砂糖と茶色い砂糖の違いは何?」など、疑問を持つ人が少なくないようです。

 それぞれの砂糖が持つ特徴や違い、上手な使い分けのポイントについて、料理研究家の長田絢さんに聞きました。

白い砂糖は「すっきり」、茶色い砂糖は「コク」

Q.砂糖には大きく分けて「白色」と「茶色」の2種類がありますが、なぜ色が異なる砂糖があるのですか。

長田さん「砂糖の色の違いは、製造過程の違いによるものです。砂糖を作る過程では、上白糖やグラニュー糖といった『白い砂糖』が先にでき上がります。それらを取り出してから、さらに煮詰めると、三温糖やざらめなどの『茶色い砂糖』ができます。茶色は、加熱時に糖が分解してカラメルの色がつくことによる色です」

Q.家庭でもよく使われる「上白糖」「グラニュー糖」「三温糖」「てん菜糖」「ざらめ」について教えてください。

長田さん「これら5つの砂糖について、それぞれの原料や製法、特徴は次の通りです」

【上白糖】

 国内では最も一般的で、かつ消費量の多い砂糖です。しっとりとした質感が特徴ですが、これは、テンサイ(砂糖大根)やサトウキビの搾り汁を結晶化させ、乾燥させたものに糖液をかけているからです。味わいにくせがないので、さまざまな料理やお菓子など、幅広い用途に使いやすい砂糖です。ちなみに、お菓子作りの際はグラニュー糖が使われることが多いですが、上白糖を使っても問題ありません。グラニュー糖に比べ、上白糖で作ったお菓子はしっとり仕上がるだけでなく、焼き色もつきやすいのが特徴です。

【グラニュー糖】

 世界的に見ると、最もポピュラーな砂糖です。上白糖と同様に、テンサイやサトウキビの搾り汁を結晶化させ、乾燥させたものですが、グラニュー糖の場合は糖液をかけないため、サラサラの質感が特徴です。味わいはすっきりとしており、スティックシュガーや製菓用として多く使われます。また、焼き色をあまりつけたくないお菓子にも向いています。

【三温糖】

 上白糖を作る際に出る糖液を煮詰めて作られるのが三温糖です。加熱によってカラメルのような茶色になります。甘みを感じやすいので、コクを出したいときなどにおすすめです。ちなみに、茶色い砂糖には「きび砂糖」もありますが、これは商品名で、三温糖とは製造法が異なるものです。

【てん菜糖】

 テンサイを原料として作られる砂糖です。茶色っぽい色をしていますが、これはカラメルの色ではなく、テンサイの色素によるものです。粒が大きめなので、少し溶けにくさがありますが、くせのないまろやかな甘さで料理にもお菓子にも使えます。また、カリウム、カルシウムなどのミネラルの他、テンサイ由来の天然のオリゴ糖も含まれています。

【ざらめ】

 三温糖と同様に、糖液を加熱して作られる砂糖ですが、三温糖より結晶が大きいのが特徴です。まろやかな味わいのため、つくだ煮や煮物などに使われます。

Q.一方、家庭では先述の5種類ほど使う機会は多くないと思われる「氷砂糖」「粉砂糖」「黒砂糖(黒糖)」はどうでしょうか。

長田さん「氷砂糖は、氷のような見た目をした結晶の大きい砂糖です。果実酒作りや果実シロップ作りによく使われるのは、普通の砂糖に比べると溶け残りにくい点に加え、氷砂糖がゆっくりと溶ける過程で、果実からのエキスもじっくりと溶け出てくるためです。また、あめのようになめて食べることもできますね。

黒砂糖は、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作られ、特有の濃い甘さとコクを出せるのが特徴です。固形や粉状があり、味のアクセントになるため、和菓子や揚げ菓子に使われることが多いです。また、黒みつ作りにも使われます。

そして粉砂糖は、グラニュー糖を粉状にした、サラサラとした質感の砂糖です。お菓子の仕上げに茶こしで振ったり、アイシング作りに使われたりします。仕上げ用の、溶けにくいタイプの粉砂糖も売られています」

Q.一般家庭に常備しておく砂糖として、最もおすすめの種類はどれですか。

長田さん「先に挙げた5つの砂糖はどれも、料理にもお菓子にも使いやすい砂糖なので、好みの味わいのものが1種類あればほとんど困ることはないと思います。料理やお菓子の種類によっても異なるので、一概にはいえませんが、この中から2つを使い分けるとしたら、料理にはコクのある茶色い砂糖、お菓子にはすっきりとした甘さで扱いやすい精製された砂糖がおすすめです。ちなみに私は、料理にはきび砂糖、お菓子にはグラニュー糖を使うことが多いです」

Q.その他、家庭で砂糖を使い分ける際のポイントや注意点とは。

長田さん「ウェブサイトや本を見て料理を作る際に、レシピに書いてある種類の砂糖が家になくても、多くの場合は置き換えても問題ないので、使い分けることにあまり神経質になる必要はないと思います。ただ、シロップ漬けのための氷砂糖や、黒糖味のお菓子のための黒糖は代用が難しいので、使い分けた方がいいですね。そして、どの種類の砂糖も、袋を開封したら密閉容器に移し、冷暗所で保存しましょう」

(オトナンサー編集部)

【写真で比較】こんなに違う! いろんな砂糖の色や質感

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長田絢(おさだ・あや)

料理研究家、栄養士

食の専門家として、テレビ番組のコメンテーターを務め、料理番組に出演。情報誌への寄稿やウェブコラムの執筆なども行う。飲食店の企画やメニュー開発、フードコーディネート、オペレーション指導から、企業の商品開発、レシピ制作、プロモーション支援など幅広く活躍。地域の特産品を使用した商品開発や、地域活性化のためのイベント企画、プロモーションなどを行う地域創生事業プランナーとしても活動している。インスタグラムやYouTubeでも食の情報を発信中。著書に「スーパーで買える『肉』を最高においしく食べる100の方法」(ダイヤモンド社)がある。JapanFoodExpert(https://jfe-aya.jp/)。

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