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食費を“節約”しつつ十分な栄養を摂取するには? オススメ食材を料理研究家が解説

自炊をする際に、食費を抑えつつ、栄養素を十分に摂取するにはどうしたらよいのでしょうか。栄養士の資格を持つ、料理研究家に聞きました。

食費を抑えつつ、必要な栄養素を十分に摂取するには?
食費を抑えつつ、必要な栄養素を十分に摂取するには?

 食料品の値上げが続き、毎日の献立に悩む人は多いと思います。ただ、食費を安く済ませようとするとインスタント食品や総菜に頼りがちになり、栄養が偏ってしまいます。SNS上では、「買い物に四苦八苦」「頑張って節約していますが、大変」「節約すると栄養が偏る」などの声が上がっています。

 自炊をする際に、食費を抑えつつ、必要な栄養素を十分に摂取するにはどうしたらよいのでしょうか。お勧めの食材などについて、栄養士の資格を持つ、料理研究家の長田絢さんに聞きました。

「鶏むね肉」「納豆」などがお勧め

Q.自炊の際に食費を抑えつつ、必要な栄養素を十分に摂取するには、どうしたらよいのでしょうか。選ぶべき食材やメニューについて、教えてください。

長田さん「体に最も必要とされる3大栄養素は、『炭水化物(糖質と食物繊維)』『たんぱく質』『脂質』で、これらをバランスよく摂取することが重要です。年齢や体重にもよりますが、1日の栄養バランスとして、たんぱく質は13~20%、脂質は20~30%、炭水化物は50~65%を目安に取るとよいといわれています。さらに、最低でもビタミン類、ミネラル類も意識して、5大栄養素をきちんと摂取できるとよいですね。

食費を抑えるためには、まず『白米』を炊くことです。まとめて炊いて冷凍しておくと、必要なときに電子レンジですぐに解凍できるので便利です。大豆製品の納豆や豆腐は、安価でたんぱく質などを多く含んでいます。

最近は値上がりしているとはいえ、卵は栄養価の高い万能食材です。肉類では鶏むね肉、魚類ではサケ、サバ、イワシ、アジなどはコストパフォーマンスの良い食材です。スーパーでは、夕方にこれらの食品が値引きされることがあるので、買い物の時間帯を工夫するのもよいでしょう。

メニューとしては、基本的には、白米と白米に合うおかず、みそ汁などが作りやすく、経済的です。例えば、肉類や魚類など、その日に安く購入できたたんぱく質を含む食材をメインに、旬の野菜を合わせるイメージです。旬の野菜は、比較的安く購入可能です。野菜を使い切れなさそうだと思ったら、下処理をした上で冷凍しておけば、後日、そのままみそ汁に使うことができるので便利です。

高野豆腐や切り干し大根、干しシイタケなどの乾物は、食材がないときにみそ汁の具材として使えますし、だしが出ておいしいのでストックしておくとよいでしょう」

Q.食費を安く抑えることができるものの、栄養面の問題でできるだけ摂取を避けた方がよい食材について、教えてください。

長田さん「インスタント食品などの加工食品は、糖質に偏りがちで脂質や塩分も多い傾向にあるため、お勧めできません。加工食品は消化吸収が悪く、ビタミンやミネラル類も不足がちになってしまいます。食事をスナック菓子や菓子パンで済ませてしまうと、栄養面で問題が生じてしまうため、できるだけ避けた方がよいでしょう」

Q.仕事などが忙しく、外食をするとします。比較的安く栄養素を十分に摂取できるメニューはありますか。

長田さん「外食で比較的安く、栄養価の高いメニューは和食で、丼よりも定食などがお勧めです。白米とみそ汁のほか、3つのおかずを組み合わせた『一汁三菜』であれば、特にバランスが良いと言えます。うどんやそばなどの単品メニューとなってしまう場合は、ワカメなどをトッピングして具だくさんにしたり、たんぱく質やビタミン、ミネラルを摂取できる主菜を追加注文したりして、バランスを取ることをお勧めします」

Q.食費を抑えなければならないときでも必ず摂取した方がよい栄養素について、教えてください。

長田さん「先述のように、3大栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物を必ず摂取するようにしましょう。たんぱく質である肉や魚、大豆、卵は高く感じるかもしれませんが、鶏むね肉や豚の細切れ肉、納豆、豆腐を選べば価格を抑えられます。

たんぱく質が不足すると、免疫力が低下して風邪をひきやすくなります。体調を崩して、市販薬を買ったり病院に行ったりすると、余分なお金がかかってしまいますし、何よりつらい思いをしてしまいます。食費を抑えなければいけないときでも、栄養価の高い食材を選び、自炊でメニューを工夫をして栄養バランスを整え、健康を意識した食生活を送りましょう」

(オトナンサー編集部)

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長田絢(おさだ・あや)

料理研究家、栄養士

食の専門家として、テレビ番組のコメンテーターを務め、料理番組に出演。情報誌への寄稿やウェブコラムの執筆なども行う。飲食店の企画やメニュー開発、フードコーディネート、オペレーション指導から、企業の商品開発、レシピ制作、プロモーション支援など幅広く活躍。地域の特産品を使用した商品開発や、地域活性化のためのイベント企画、プロモーションなどを行う地域創生事業プランナーとしても活動している。インスタグラムやYouTubeでも食の情報を発信中。著書に「スーパーで買える『肉』を最高においしく食べる100の方法」(ダイヤモンド社)がある。JapanFoodExpert(https://jfe-aya.jp/)。

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