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大阪府公用メール問題…勤務中の送別会準備は義務違反? 民間と違いは? 専門家に聞く

セレモニーへの参加は職務?

Q.勤務時間中に送別会の準備をしたことで処分された、という実例があれば教えてください。

木村さん「公務員の場合、処分がなされた例は、調べた限り見当たりませんでした。大阪府に限らず、他の官公庁でも、以前から送別会の準備や連絡を勤務時間内に行うことが通例として扱われていたため、現在まで問題視されていなかったのではないかと推測されます。民間企業も実例は見当たりませんでした」

Q.役所では知事や市長の初登庁や退任のときに職員が庁舎玄関に集まり、花束を渡すセレモニーが行われることがあります。これは職務といえるのでしょうか。

大阪府秘書課の担当者は「府民に選ばれた知事を迎えることは、秘書業務として指示されたもので、職務専念義務には違反しないと考えます。4月8日の吉村知事の初登庁は午後1時でしたが、他の職員には庁内放送で『業務に支障のない範囲でお集まりください』と呼びかけており、業務に支障のない職員が集まったと思います」と述べています。

木村さん「セレモニーを行う目的をどう捉えるかです。もし、知事や市長個人に対する激励や慰労の意味だけであれば、あくまでも職場内部の行事です。その場合、公務員本来の職務目的に鑑みると、公共の利益のために行っている業務とはいえず、職務ではないと取られる可能性があります。

もっとも、セレモニー自体が悪いのではなく、始業時間前・昼休み時間・勤務終了後など、参列者自身の勤務時間外に行われた場合であれば問題ないといえるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

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