オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

メアドに「mama」を使う41歳主婦、夫との離婚を決意した先で陥った哀れな袋小路(下)

のしかかる「mama」のプレッシャー

 もし、恵梨香さんが離婚するのなら母親と同じというわけにはいきません。恵梨香さんの母親は離婚していないからこそ、父親の収入に依存して財布を管理し、専業主婦の椅子に座り続けることが可能でしたが、恵梨香さん夫婦は違います。夫の給料の8割を握り、家賃の10割を払わせ、車は使い放題。恵梨香さんの言葉の節々から「離婚しても専業主婦で」というニュアンスが伝わってきましたが、今の恵まれた環境が「当然だわ」と思っているのなら甘すぎと言わざるを得ないでしょう。

「働いたら負けだと思っているから」

 そんなふうに強がっている、引きこもりニートのやからを散見しますが、「働くくらいなら、離婚した方がマシだわ」と言い放つ恵梨香さんと似た者同士ではないでしょうか。恵梨香さんの相談を聞いて首をかしげるしかありませんでした。結局、恵梨香さんは大口をたたくだけたたいたものの、本気で離婚を切り出す勇気はなく、だからといって働きに出ることもなく、不満たらたらで現状維持に甘んじるしかなかったのです。

 ここまで、メールアドレスに「mama」を入れた女性の苦悩を紹介してきましたが、毎日のように目に飛び込んでくる「mama」の4文字のせいで、必要以上のプレッシャーがかかっているのではないでしょうか。「理想的なママを演じないといけない」「とにかく娘のことを最優先に考えないと」「ママ以外の顔を見せるなんてもっての外」と。

 だからこそ、夫から「外で働いてほしい」と頼まれても娘さんを盾に断ったり、娘さんの世話がおざなりにならないように、娘さんにかけるお金が減らないように夫の小遣いを精査して「無駄使いリスト」を作ったり、揚げ句の果てに、娘さんにとって「夫はいない方がいい存在なのでは」と疑心悪鬼になり、離婚計画を企てたりしたのでしょう。

 娘さんのためなら、夫はもちろん、自分にも犠牲を強いるのが「当たり前」という感じですが、娘さんのためとはいえ、夫婦にとって息苦しいのは間違いありません。だから、恵梨香さんは知らず知らずのうちにストレスをため込み、イライラが頂点に達した結果、夫に対して逆ギレしたのでしょう。

 娘さんへの責任感が強すぎるせいで一人で抱え込み、「mama」以外の居場所…高校や大学の旧友、独身時代の同僚、ママ友以外の友達との付き合いを減らした結果、ストレスのはけ口を失った結果だといえます。

 学校の先生、同級生の親御さん、そして、実家の母親…狭い交友関係の中で特定の人間に囲まれて精神的、時間的、そして金銭的に依存するのは「何かあった場合」危険です。恵梨香さんのように、離婚の2文字が頭をよぎっても「捨ててしまいたい夫の助けがないと離婚できない」という矛盾に陥り、にっちもさっちもいかずに袋小路に閉じ込められるようでは困ります。

「mama」という存在に固執せず、複数の顔を持っておき、臨機応変に使い分けるのが路頭に迷わないための策なのだから、巡り巡っては娘さんのためになる、と発想を切り替えてほしいものです。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

1 2

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

コメント

1件のコメント

  1. 私もこんなくそ嫁専業主婦です、まじ、死にたい