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特別支援学級は「大学受験も就職も不利」と考える障害児の親…「わが子を通常学級へ」の願いは本当に正しいのか

「障害の程度に応じて進路を選ぶ」大切さ

 息子は、高等部卒業後の進路先として、就労移行支援事業所を希望しました。その事業所は、わが家の住民票がある区とは違う自治体にありました。

 学校での個人面談日に、私は担任から「区外の事業所について詳しくなかったので、ご希望の就労移行支援事業所へ見学に行ってきました。見学をしなくては、本日の面談で話ができないと思いましたので」と言われました。

「え、見に行ってくださったんですか。先生、お忙しい中、わざわざ息子のために足を運んでくださりありがとうございます!」

「進級希望先は保護者の方が直接交渉するよりも、学校長の名前でまず実習希望を依頼した方が、先方の心象もいいことが多いです。仮に実習できたとしても、実習後、内定が出なかったら次の策として、区内の実習先で◯◯と△△がありますので…」

 このようにどんどん決めてくれます。最後に、担任から「お母さま、今日はお忙しい中、お越しくださってありがとうございました」と言われました。

 私は、心の中で「それはこっちのセリフです。先生方、いろいろと考えてくださり、ありがとう」と頭を下げました。

 このことを、普通科高校に知的障害のある子どもを通わせている知人に話すと、「過保護すぎる学校」と言われました。でも、私は「過保護でもいい。親の力ではできないことを学校側が交渉してくれているのだから」と思いました。

 地元の公立中学の特別支援学級で、息子と同じクラスだったお子さんが、普通科高校へ進学した際、その子のお母さまが卒業後のことを悩んでいました。私が就労移行支援事業所の説明をすると、「それ何?」との返答。「障害のある生徒が少ない学校に在籍していると、情報が入らないんだな」と感じ、改めて恵まれた環境をありがたく思ったものです。

 息子は就労移行支援事業所に3年間通い、その後、「就労定着支援」を受けています。就労が定着し、継続できるように、利用していた就労移行支援事業所の人が月1回、会社を訪問して様子を見てくれる福祉サービスです。月額3000円の負担で、3年半利用できます。

 学歴にこだわるのではなく、制度やサービスをうまく利用し、安心・安定して働けるように小学校入学時から考えることが大切だと思います。

 知り合いで、特別支援学校高等部を卒業後、企業に就労して10年目の人がいます。苦手を知り、できないことは周りの人に頼って質問しています。言われた仕事をきちんとこなし、注意や指摘をされても素直に受け取り、働いています。

「普通の学校に行った方が伸びるのではないか……」と漠然と考えるのではなく、子どもの障害の程度に応じて進路を選ぶことが、安定した就労のためにも大切だと思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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