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「ネッククーラー」着用時に皮膚炎、壊死リスクも ついやりがちな“危ない使い方”とは?【医師解説】

「ネッククーラー」の使用時に皮膚トラブルを引き起こす可能性があるといわれていますが、本当なのでしょうか。使用時の注意点について、美容外科医に聞きました。

ネッククーラーの着用時に皮膚炎が生じることも
ネッククーラーの着用時に皮膚炎が生じることも

 夏は熱中症対策の一環として「ネッククーラー」を使用する人が増えます。手軽に首元を冷やせる便利なアイテムですが、ネット上では「皮膚トラブルが起こる」という内容の情報があります。

 ネッククーラーを使用する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。ネッククーラーの危険な使い方や、症状が出たときの対処法などについて、eクリニック富山院(富山市)院長で美容外科医の張田修平さんに聞きました。

クーラーが効いた部屋で使用すると霜焼けが生じることも

Q.そもそも、「ネッククーラー」の使用時に皮膚トラブルが生じることはあるのでしょうか。

張田さん「はい、使用時の状況によっては皮膚トラブルが生じる可能性があります。ネッククーラーによる皮膚トラブルの主な原因は、次の2つです」

(1)内容物の液漏れによる接触皮膚炎
市販のネッククーラーの多くは、冷却ジェルや特殊な保冷材を内部に封入しています。これらが経年劣化や強い衝撃などで破損すると、内容物が漏れて皮膚に直接接触し、アレルギー性または刺激性の接触皮膚炎を起こす可能性があります。

ジェル成分にはポリマーや防腐剤、香料などが含まれていることがあり、これらが肌に合わない場合、赤みやかゆみ、水ぶくれ、腫れといった症状を引き起こします。

(2)長時間の冷却による霜焼け
一部のネッククーラーは冷却効果が非常に高く、冷たさが長時間持続するタイプの製品もあります。そうした製品を同じ部位に長時間当て続けると、皮膚や皮下組織の温度が過度に低下し、「凍瘡(とうそう)」(霜焼け)と呼ばれる局所的な冷えによる障害が生じるリスクがあります。

 特に、次のような条件が重なると凍瘡のリスクが高まります。

・ネッククーラーがぬれたまま長時間使用

・ネッククーラーの金属部分や冷却パックが直接肌に当たったまま使用

・クーラーが効いた屋内でネッククーラーを着用し続ける

凍瘡は軽症であれば赤みやかゆみ程度で済みますが、重症化すると水ぶくれや潰瘍、壊死に至ることもあるため注意が必要です。

Q.では、市販のネッククーラーを使用する際の注意点について、教えてください。使用をできるだけ控えた方がよい人の特徴はありますか。

張田さん「ネッククーラーを使用する際の注意点は次の通りです」

【使用時の注意点】
(1)冷やし過ぎないこと

長時間連続で使用せず、1回30分から1時間を目安に、適度に外すようにしましょう。冷却し過ぎると皮膚障害の原因となります。

(2)ネッククーラーを肌に直接当てて使わないこと
特に冷却効果が強い製品は、タオルや薄手の布で包んだ状態で使用することが推奨されます。

(3)破損や液漏れがないかを確認
使用前後に必ず製品の状態を確認し、ジェルのにじみや異常な臭いがある場合は使用を中止してください。

(4)衛生管理の徹底
皮脂や汗が付着したまま使用を続けると、雑菌が繁殖しやすくなり、あせものほか、毛穴の奥の毛根を包んでいる部分に炎症が生じる「毛嚢炎(もうのうえん)」の発症リスクが高まります。使用後はよく洗浄し、乾燥させてください。

【使用をできるだけ控えた方がよい人の特徴】
次のようなケースに該当する人は、ネッククーラーの使用をできるだけ控えるか、使用すべきなのかを慎重に判断した方がよいでしょう。

・アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の既往がある人
製品使用時の摩擦や内容物の漏れが原因で肌の状態が悪化する恐れがあります。

・極端に敏感肌の人
特に冷却ジェルに接触することで反応を起こす可能性があります。

・高齢者や子ども
皮膚が薄く、温度変化への反応が鈍いため、凍瘡などの障害が生じやすくなります。

・糖尿病や末梢(まっしょう)血行障害がある人
糖尿病の人や末梢血行障害の人は、血行障害があります。そのため、冷却すると血流が悪化するほか、冷却によるダメージを回復しにくく、重症化のリスクがあります。

Q.ネッククーラー使用中に皮膚に異変が生じた場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

張田さん「皮膚に異変が見られた場合は、すぐに使用を中止し、症状に応じた対処が必要です」

(1)赤みやかゆみ、かぶれが生じた場合
・使用を中止し、冷たい水で患部を優しく洗浄する。
・市販の抗ヒスタミン薬入りのかゆみ止めやステロイド外用薬(短期間)を使用してもよいのですが、数日たっても改善しない場合や悪化する場合は皮膚科を受診してください。

(2)水ぶくれやただれがある場合
・自己処理はせず、速やかに医療機関を受診してください。
・患部を無理につぶしたり消毒したりすると、二次感染のリスクがあります。

(3)内容液が皮膚に付着してしまった場合
・すぐに患部を水で十分に洗い流してください。
・肌に異常が出た場合は、製品の成分表示を持って皮膚科を受診してください。

 ネッククーラーは、適切に使用すれば熱中症対策として非常に有効なアイテムです。しかし、使用方法や製品の状態によっては皮膚トラブルを引き起こすリスクもあります。先述のように敏感肌の人や子ども、高齢者は特に注意が必要です。

 ネッククーラーの使用時に肌トラブルを予防するには、製品の劣化や破損をチェックするとともに、「長時間の連続使用を避ける」「製品を肌に当てない工夫」が大切です。少しでも皮膚に異常を感じた場合は、使用を中止し、必要に応じて早めに医師の診察を受けましょう。

(オトナンサー編集部)

【要注意】「えっ…!」 これが「ネッククーラー」の“危険な使い方”です!

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張田修平(はりた・しゅうへい)

eクリニック富山院院長、美容外科医

東京都内での初期研修を経て、皮膚科専門医として保険診療に従事。皮膚がんに対する植皮術や皮弁形成術などの外科的手術、アレルギー性疾患の長期管理など、幅広い症例を経験。その後、eクリニックに入職。延べ数万人以上の肌・美容の悩みに対応してきた実績を持つ。「より美しく、前向きに生きたい」という顧客の思いに応える医療を追求。現在は、保険診療と美容医療の双方の経験を生かし、北陸地域を中心に一人一人の“美しく生きる力”をサポートしている。eクリニック富山院(https://eclinic-toyama.jp/)。

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