オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「障害者は公園にでも行け!」 自閉症児を育てた識者が直面した“多様性の受容が進まない”社会の現実

「障害があったら電車に乗ってはいけないんですか!」

 ある日の移動支援中、女性は駅前の広場で大声を出しました。車内などではなく、広い場所だったので、私は特に注意をしませんでした。電車に乗る前に思い切り声を出すことで、「電車内では静かにする」という約束をしようと考えたからです。

 すると、見知らぬおじいさんが近づいてきて、私がヘルパーであることが分かったのか、「あんた、静かにさせんか!」と怒鳴りつけてきました。

 私は「障害があるんです。ご本人だって困ってるんです。ここは車内でもホームでもありませんよ、電車に乗る前に落ち着かせているんです」と言いました。

 すると、そのおじいさんは「ここも駅構内だ! 電車に乗らないで、障害者は公園にでも行け!」と怒鳴りました。

 倍返しをする気質の私は、「障害があったら電車に乗ってはいけないんですか! それに、公園だって小さな子どももいますし」と言い返してしまいました。

 その出来事を別のヘルパーに相談したら「立石さん、悔しくてもそこはグッとこらえて、謝罪すべきだったよ。言い合いをしたら、利用者さんだって不安になるでしょう」と叱られてしまいました。

 私は自分の感情をぶつけてしまったことを反省しましたが、今でも腹が立ち、モヤモヤします。

「多様性を受け入れる」「インクルーシブな社会」…昨今、そんな耳に心地よい言葉が飛び交っていますが、現実として、まだまだ世間の理解は進んでいないのだなとも思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「もしかして…わが子も…?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

画像ギャラリー

1 2

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

立石美津子(たていし・みつこ) 関連記事

もっと見る

著書案内(立石美津子)1 関連記事

もっと見る

著書案内(立石美津子)2 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

ライフ 最新記事

ライフの記事もっと見る

コメント