「障害者は公園にでも行け!」 自閉症児を育てた識者が直面した“多様性の受容が進まない”社会の現実
自閉症児を育てていると、いい意味で感覚がまひしてくる――。自閉症児を育てた筆者が実際に体験したのは、多様性への理解が進んでいない現実を知らしめられるような出来事でした。

子育て本著者・講演家の私は、自閉症の息子を育ててきました。自閉症児を育てていて、そのコミュニティーにどっぷり浸かっていると、いい意味で感覚がまひしてきて、あまり気にならないことがあります。
大きな声で叫ぶことがある女性
例えば、手をひらひらさせたり、ジャンプしたりする「常同行動」です。常同行動とは、周囲からすると意図が分からない行動を繰り返すこと。奇妙にも見える行動のため、やめさせたい親御さんもいるかもしれませんが、これは本人が精神の安定のために行っていることもあるので、無理やり静止する必要はないと思います。
一方で、他人に迷惑をかける行動の場合は困ります。例えば、小さな子どもの鼻にこだわりがあり、いきなり赤ちゃんの鼻を触ろうとする…などです。
私より年齢が少し下の女性の支援を行ったときのこと。その女性は、大きな声で叫ぶことがありました。本人も大声を出したくて出しているわけではないので、次のような工夫をしていました。
・声を出していないときに褒め、声を出しているときには、声を出さないよう静かに注意をする
・公共交通機関を利用する際、バスは密室になるので利用せず、電車にする。電車内では周りに誰も座っていない席に座る
・声を出したら電車を降りたり、あめやガムを食べさせたりする
・遠回りしてでも、駅の間隔が短い各駅停車の電車に乗る
また、ご家族は主治医と相談して、薬の調整をするなど対応されていました。ところが……。
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