夫に離婚を切り出された59歳主婦、離婚せずに夫の死を待つ「打算」(上)
夫から突然離婚を切り出され、離婚届にハンコを押すかどうかで悩んでいる一人の女性。夫の希望条件で離婚した場合と離婚せずに夫が亡くなった場合で、手に入る金額は大きく異なるようです。

厚生労働省(人口動態統計)によると、離婚した夫婦のうち同居期間35年以上のケースは、昭和50年にわずか300組でしたが、平成27年は6266組に達しているようです。ここに該当するのは、夫が定年退職する前後の夫婦が多いはずですが、40年間で約20倍に膨れ上がっているのだから由々しき事態。しかし、これは氷山の一角に過ぎないでしょう。
なぜなら、夫が「別れたいんだ」と切り出したところで、妻は「老後の資金」として夫の財布を当てにしているので、首を縦に振らせるのは至難の業。男性の平均余命80.98歳に対し、女性は87.14歳なので、離婚するより死別する方が金銭的に得なら、妻は「夫が死ぬまで」離婚せずに時間を稼ごうと思うはずです。
「離婚したいのにできない夫婦」は上記数字に計上されていないので、離婚の危機に直面している熟年夫婦はもっと多いのですが、今回の相談者・川上啓子(59歳)も夫(64歳)から何の前触れもなく離婚を切り出され、離婚届にハンコを押してよいものか悩んでいる一人です。
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
川上豊(64歳) 会社経営者(年収1200万円)
川上啓子(59歳) 専業主婦 ※今回の相談者
川上節子(86歳) 豊の母
川上良二(30歳) 長男(一般企業の会社員で川上建設を継ぐつもりはない)
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