【豆知識】起床時に摂取OK&NGの飲み物は? 水分摂取サボるとどうなる? 専門家が解説
起床時に水を飲まなかった場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。専門家に聞きました。
朝起きたときに、すぐに水を飲む人もいれば、寝坊が原因で水分や朝食を取らないまま、外出する人もいます。起床時に水分を摂取しなかった場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。起床時はどのような飲み物を摂取したらよいのでしょうか。姿勢科学や健康科学などに詳しい、姿勢調整師の金野正博(こんの・まさひろ)さんに聞きました。
頭痛や便秘の原因に
Q.そもそも、人間は1日にどの程度の量の水を飲むべきなのでしょうか。
金野さん「人間の体の水分量は、体重によって異なりますが、通常は体重の50〜70%が水で構成されているといわれています。この水分は細胞や血液、リンパ液など、体内のさまざまな部分に存在します。水は生命維持に不可欠であり、体温調節や栄養素の輸送、代謝反応の促進、体内の有害物質の排出など、多くの生理的プロセスに関与しています。
水分の適切な摂取は健康維持に非常に重要であり、脱水はさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。個人の特性や状況によって異なりますが、一般的な目安として、1日に約2リットル(グラス8杯分)の水分を摂取することが推奨されています。ただし、これは一般的なガイドラインに基づく摂取量であり、個人の状況に合わせて調節することが重要です」
Q.起床時にすぐに水を飲んだ方がよいのでしょうか。それとも、朝食時に飲めば問題ないのでしょうか。
金野さん「一般的に、朝一番に水を飲むことは健康的な習慣とされています。睡眠中に汗と呼気から失われる水分は、500ミリリットル以上、多いときで1リットルほどだといわれています。体重の1~2%分の水分が減少すると、軽い脱水が始まります。
そのため、起床後、少なくとも1杯の水を飲むことで、体内の水分バランスを整え、脱水のリスクを減少させることができるほか、頭痛や便秘などの予防につながるでしょう。また、朝食時に水を飲むと栄養バランスの整備やエネルギーレベルの向上のほか、胃への過剰な圧力を避けることで食欲を促進させるなどのメリットがあります。
水を飲むのに適切なタイミングは、個人の生活様式や健康状態によって異なります。自分自身の体調や日常のスケジュールに合わせて判断しましょう。起床時ではなく、朝食時に水を摂取するのが合っている場合がある一方、起床から朝食まで時間が空くときは、事前に水分を摂取した方がよい場合もあります」
Q.起床後、水や朝食を摂取しないまま外出することが習慣化した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
金野さん「起床後、水や朝食を摂取せずに外出すること自体が、すぐに健康に大きな問題を引き起こすわけではありません。ただし、長期間にわたってこのような習慣を続けると、健康リスクを高めてしまう可能性があります。
具体的には、脱水のリスクが高まり、頭痛や便秘、集中力の低下、倦怠(けんたい)感などの症状が現れる可能性があります。また、胃腸の働きに影響を及ぼし、消化の問題が発生しやすくなるほか、体重増減や栄養不足のリスクが増大するでしょう。さらに、朝食を抜くことで代謝が低下し、エネルギーが不足する可能性もあります。
個人の生活様式や食事時間、水分摂取量によって異なりますが、健康的な習慣として、起床後に水を飲み、早めに朝食を取るのが望ましいと思います。起床時に水を摂取するのが難しい場合、朝食時もしくは屋外での移動中に水を飲めば、健康リスクを軽減できるかもしれません。個人のライフスタイルや好みに合った水の摂取方法を見つけることが重要です」
Q.起床時に摂取してもよい飲み物、摂取を避けた方がよい飲み物について、教えてください。
金野さん「自分の健康状態のほか、好みに合わせて飲み物を選ぶことが大切です。起床時に摂取してもよい飲み物、摂取を避けた方がよい飲み物について、次のように説明します」
【起床時に摂取してもよい飲み物】
■水
起床後に最も推奨される飲み物は水です。水は先述のように体内の脱水を防ぎ、1日をすっきりと始めるのに役立ちます。温度については、個人の好みによりますが、考慮すべき点は次の通りです。
・常温水(室温と同程度の水)
常温の水は、体に負担をかけずに効率的に吸収されます。特に胃が敏感に反応する人のほか、起床時に水を飲む人にお勧めです。
・熱過ぎない程度のお湯
お湯は胃の動きを促進し、消化をサポートする可能性があります。また、喉の痛みの軽減や喉の粘膜の保護にも寄与します。
・冷たい水
冷たい水を飲むと爽快感を覚えると思います。ただし、冷たい水を摂取すると胃が一時的に収縮する可能性があるため、人によっては、朝食前に体に少し負担をかけてしまうことがあります。
■ハーブティー
カフェインを含まない「カモミール」「ペパーミント」「ルイボス」などのハーブティーは、起床後に穏やかな目覚めを促すのに適しています。
■温かいレモンウオーター
温かい水にレモンの搾り汁を加えた飲み物は、体内の消化を促進するほか、ビタミンCを摂取するのに適しています。
■緑茶
緑茶にもカフェインが含まれていますが、コーヒーよりも刺激が穏やかなため、無理なく摂取可能です。
【起床時に摂取を避けた方がよい飲み物】
■コーヒー
コーヒーに含まれるカフェインは、覚醒効果がありますが、摂取量や個人の感受性によっては、不安や神経過敏を引き起こすことがあります。大量のコーヒーを飲むと胃に刺激を与え、消化機能に影響を及ぼすことがあります。カフェインに過敏に反応してしまう人や胃腸の調子がよくない人は注意が必要です。
ただ、コーヒーを起床後に摂取することについては、個人差が大きく、適度な摂取量であれば問題ない場合もあります。朝食と一緒に摂取することで、コーヒーの刺激効果を緩和することができます。
■牛乳
牛乳に含まれる成分の一つである「カゼイン」は、消化に時間がかかるほか、一部の人にアレルギーを引き起こすことがあります。牛乳を飲むと胃腸が過敏に反応してしまう人は、摂取を控えるか、別の乳製品の摂取を検討しましょう。
■トマトジュースや酸性度が高いフルーツジュース
トマトジュースのほか、オレンジジュースやグレープフルーツジュースのような酸性度が高いフルーツジュースは、胃を刺激する可能性があるため、胃酸過多の人は避けた方がよいかもしれません。
目覚めをよくするためにコーヒーを飲む人は多いと思いますが、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう。
(オトナンサー編集部)
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