「私が悪い」「自分のせい」と考えがち…「罪悪感が強い人」の心理とは? 心理カウンセラーに聞いた
「迷惑をかけたかも」「自分のせいで…」といった申し訳ない気持ちを抱きやすい、「罪悪感」が強い人がいます。どのような心理状態なのか、心理カウンセラーに聞きました。
日常のちょっとしたシーンで「私が悪い」「迷惑をかけたかも」「自分のせいで…」といった申し訳ない気持ちを抱きやすい人は、すなわち「罪悪感」が強い人かもしれません。こうした人には、「優しい」「自分に厳しい」「真面目」といったイメージを持つ人もいると思いますが、罪悪感が強い人の心理とはどのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
罪を「拡大解釈」する傾向がある
Q.そもそも「罪悪感」とは何ですか。
小日向さん「『罪悪感』とは、自身が社会的規範や道徳・倫理に背いたという意識や感情を持った場合に生じる罪の意識のことをいいます。罪悪感を持つと『罪滅ぼしをしたい』という気持ちが生じることが多く、実際に謝罪や賠償など、気持ちを行動や見える形で示す人もいます。
また、罪悪感が強くなり過ぎると『自分は生きている価値がない』といった自尊心の低下が生じやすくなります」
Q.罪悪感は誰もが抱くものですが、中でも特に強く感じやすい人の心理とは、どのようなものだと思われますか。
小日向さん「罪悪感というのは、『遅刻をして相手を待たせてしまった』『自分のミスでチームが負けてしまった』『浮気をしてしまった』など、本来は一つの事象について湧き上がる感情です。しかし、罪悪感を強く抱きやすい人は、一つの事象についての罪を拡大解釈する傾向があります。
例えば、『遅刻した→自分はもう人と約束してはダメな人間だ』『ミスをした→こんな自分はチームを辞めた方がよい』『浮気した→誰かと付き合う資格がない』といった思考です。
このように、拡大解釈して罪を感じる癖がつくと、自分に行動制限をかけるようになり、さらに進んでしまうと、自分が存在することにすら罪の意識を感じるようになってしまうこともあります」
Q.罪悪感を抱きやすい人の特徴はありますか。
小日向さん「性別関係なく、性質としては真面目な人が多いといえます。性格は誠実、協調性を大切にする、控えめといった傾向がみられ、一般的には『良い人』と認識される人が多いでしょう。また、そうした気質や性格だけでなく、幼少期の厳しい教育(ダメ出しが多い、虐待)、部活動などチーム活動での体験といった環境要因も加わってきます。
ただ、罪悪感を強く抱きやすい人は、生涯その傾向が変わらないということはなく、罪悪感を抱かない集団の中にいるうちに、自分も罪悪感を抱かなくなってくるということもあります。集団汚職などがその典型例としていえるかと思います」
Q.罪悪感が強く、心が疲れてしまいやすい人に、心理カウンセラーとしてのアドバイスを。
小日向さん「先述しましたが、『罪悪感を抱いた事象を拡大解釈しない』ことを意識してみてほしいと思います。起きたことを罪として認識したなら、そのことだけを反省して、次に活かせるように学習する――それで終わりです。そこに、『他人から自分はどう見えるのか』とか『自分の存在価値』といった壮大な思考を上乗せして考える必要はありません。
また、失恋や死別などの喪失体験は、『失う前に、自分にもっとできることがあったのではないか』という思考から罪悪感が強くなりやすい事象です。しかし、厳しい言い方になりますが、その思考の中には、自分以外の生命体を自分の言動でどうにかできると考えているおごりもあることを認識してください。自分以外の生命を尊重するという姿勢を大切にすること、これも、過剰な罪悪感から解放されるポイントとなるのではないかと思います」
(オトナンサー編集部)
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