夏は“怖いもの”が見たくなる? 「ホラーが好きな人」の心理とは? 心理カウンセラーに聞いてみた
好き嫌いが分かれやすい「ホラー」ですが、夏になるとホラー作品に触れたくなるという人も少なくありません。「ホラーが好きな人」の心理について、心理カウンセラーに聞いてみました。
暑い季節になると、映画や小説などの「ホラー」作品を見たり読んだりしたくなるという人、結構多いのではないでしょうか。「ゾッとする怖さで暑さを忘れたい」「怖いものを見て涼しさを感じたい」といった人もいるかもしれませんが、一方で“苦手派”の人たちからは「ホラーは絶対無理」「どうしてわざわざ怖いものを見るの?」「理解できない」という声も聞かれます。
「ホラーが好きな人」の心理とは、どのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
ホラー作品の「怖い」は「興奮状態」
Q.そもそも、ホラー作品といった「怖いもの」を見たとき、人の精神・心理にはどのような変化が起こり得るのでしょうか。
小日向さん「自律神経は、運動神経とは異なり、体が自分の意思に関係なく自律的に動くためにあります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、心理的にアクティブな状態のときは交感神経が活発になり、副交感神経が優位になるとリラックスしてきます。
怖いものを見ると、驚いたり恐怖を感じたりと感情が大きく動くので、交感神経が活発になります。交感神経が優位になると、体は緊張状態になるため、動悸(どうき)がしたり血圧が上がったりします。
ホラー作品については、『怖い』という表現を伴って表されるものの、大きく心理的にくくると『興奮している』という状態です。つまり、アクティブな心の変化を伴っていると考えられます」
Q.「ホラーが好き」な人の心理とは、どのようなものですか。
小日向さん「『ホラー』は直訳すると『恐怖』『戦慄』です。これまでは幽霊など死んだ人にまつわる話をホラーと呼ぶのが一般的でしたが、現在では、生きている人間の裏の姿や常任離れした思考を描く『人怖(ヒトコワ)』というジャンルも出てくるなど、ホラーの意味付けは多様化してきています。
しかし、どのような形式であっても、ホラーが好きな人に共通するのは『好奇心旺盛』という性格だと思います。新しいものを見たい、知らない世界を知りたい、そういった欲求の強さが、ホラー好きになる大きな要因になるでしょう。
また、『カリギュラ効果』という名称で有名ですが、人間には『絶対に見ない方がいい』と言われると見たくなってしまうなど、“禁止されればされるほどやりたくなる”という一般心理があります。ちなみに、ホラー映像の宣伝で『絶対に一人では見ないでください』などの禁止文句がつくことが多いですが、これはそうした心理による効果を目的としているのです」
Q.ホラーが好きな人と苦手な人は、何がどう違うのだと思われますか。
小日向さん「先述しましたが、ホラーのジャンル問わず『好奇心が旺盛』という性格的な共通点は男女問わずあると思います。ただ、好奇心は意識していないと、経験値が上がるとともに低下していくので、その点からいえばやはり若い人の方が、ホラー好きが多いといえるでしょう。
また、いまだ男性に対しては『何があっても動じない強さ』をよしとする文化背景があるため、男性の方がホラー好きを自称する傾向は高いと感じます」
Q.夏の時期は、ホラーのような怖い作品に触れたくなる人が少なくないようですが、「夏にホラーが見たくなる」のはなぜだと思われますか。
小日向さん「先述したように、ホラーを見ると交感神経が活発になって血圧は上がるのですが、恐怖感情によって皮膚表面の毛穴は閉じ、血流も滞るため、鳥肌が出て寒気を感じます。暑い日に、涼しい場所に行って涼を感じるときは副交感神経が優位になるので、実際は自律神経が真逆に動いているのですが、恐怖を感じたときの寒気と涼しさを混同して『涼しくなりたいからホラー』という心理が出てくるのではないでしょうか。
また、日本では『亡くなった人が帰ってくる』といわれているお盆の時期が夏なので、そうした背景からストーリーに入りやすいのかもしれません」
(オトナンサー編集部)
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