阿佐ヶ谷で半世紀続いた喫茶店が閉店 夫婦の新たな夢「美しい日本を見て回りたい」が感動呼ぶ
「80歳を区切りにしよう」

そんな2人が閉店を決めたのは2017年。忠良さんは79歳になっていました。お子さんは2人いますが、ともに会社勤め。「自分がやりたいという気持ちがなければ、できない仕事だから」と後継者には考えなかったそうです。
「80歳を区切りにしよう」と決意して2018年6月初め、閉店を知らせる張り紙を店内に掲げました。「残された時間は…」の部分は「追伸」としていますが、最初から書き込んでいたそうです。
「やめづらかったんで、『80歳』と書けばみんな納得してくれるかなと。張り紙を出したら『ご苦労さま』と言ってもらって『ああ、助かった』と思いました。お世辞だろうけど『え、本当に80歳?』というお客さんもいましたね」(忠良さん)
「動けなくなってからやめるのも大変ですしね。片付けをしなきゃいけないでしょ」(恭子さん)
2人が店を開いてから51年。阿佐ヶ谷にもビルが建ち並び、ポトロのコーヒーは1杯420円になっていました。
「今まで旅行もできなかったんで、2人で日本を歩こうと思っています。お寺や神社、お城。日本に生まれてよかったと思えるように。最初は女房の古里の京都かな」(忠良さん)
「私も高校を卒業してすぐ上京したんで、あまり京都の名所って見てないんですよね」(恭子さん)
取材の最後、「阿佐ケ谷から引っ越したかつてのお客さんなど、直接あいさつできなかった人たちに伝えたいことはありますか」と尋ねると、忠良さんは少し考えた後、「閉店のお知らせ」の結びにつづった言葉を繰り返しました。
「本当に、本当にありがとうございました」
(報道チーム)
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