歯磨きを「丸1日」サボるとどうなるの? 歯科医師に聞いてみた
「丸1日、歯磨きをせずに過ごした」経験、あなたにはありますか。歯磨きを1日サボってしまうと、歯や口の中はどんな状態になってしまうのでしょうか。歯科医師に聞いてみました。
あなたには、丸1日歯磨きをせずに過ごした経験がありますか。中には、「よくある」「単純に面倒くさくてサボってしまう」という人もいるかもしれませんが、人間の歯は歯磨きを丸1日サボるとどうなってしまうのでしょうか。クレモト歯科なんば診療所(大阪市浪速区)院長で歯科医師の呉本勝隆さんに聞きました。
早急に対策を取る必要あり
Q.ずばり、「丸1日歯磨きをサボる」と、口の中はどうなることが考えられますか。
呉本さん「歯磨きを丸1日サボると、口腔(こうくう)内の細菌が増え、口臭の原因となる悪臭が発生する可能性が高まります。また、歯垢(しこう)や食べカスが歯の表面に残り、虫歯や歯周病のリスクが増加します。口腔内の部分別に考えられる変化としては、次の通りです」
【歯/歯垢】
歯磨きを1日サボると歯垢(プラーク)が増え、歯の表面に付着します。歯垢は細菌の繁殖を促し、酸を生成するため、虫歯や歯の表面のミネラルを喪失する「脱灰」(だっかい)を引き起こす可能性があります。
【歯茎】
歯磨きを怠ると、歯茎に歯垢や細菌が蓄積し、歯茎の炎症、腫れ、出血のリスクが高まります。これは歯周病の初期症状であり、顎の骨が吸収されていく可能性があります。
【口臭】
歯磨きをサボることで口腔内の細菌数が増加し、歯垢の蓄積が進むことで歯周病が進行します。その結果、口臭が強くなる可能性があるでしょう。
Q.丸1日歯磨きをサボると、すぐに虫歯や歯周病になってしまうのでしょうか。
呉本さん「丸1日歯磨きをサボることで、即座に虫歯や歯周病になるわけではありませんが、長期的には問題が発生する可能性があります。定期的な歯磨きの欠如は、口内の細菌数や歯垢の増加を招き、虫歯や歯周病のリスクを高める要因となるためです」
Q.もし、実際に丸1日歯磨きをサボってしまった場合、どうすればいいですか。
呉本さん「丸1日歯磨きをサボった場合は、早急に対策を取り、口腔ケア習慣を復活させることが重要です。具体的なリカバー方法としては、次の4点が挙げられます」
【正しい歯磨きを行う】
歯ブラシと歯磨き粉を使用して、歯の表面や歯茎を優しく磨きましょう。特に、歯と歯茎の境目や歯の裏側にも注意して磨くことが重要です。
【デンタルフロスを使用する】
歯と歯の間の歯垢を取り除くために、デンタルフロスを使いましょう。繊維状の歯磨き具を歯の間に挿入し、糸のように動かして清掃してください。
【口腔洗浄剤を使用する】
口内の細菌を減らして口臭を防ぐために、口腔洗浄剤やうがい薬を使って口内をすすぐことが効果的です。
【食事後にうがいをする】
食事後には、口の中を軽くうがいすることで食べカスや細菌を除去しましょう。
Q.最後に、虫歯や歯周病のリスクを減らすため、日常的にできることを教えてください。
呉本さん「まずは、正しい歯磨きの習慣を確立することです。毎日、少なくとも食後2回の歯磨きを欠かさず行い、歯ブラシの交換も定期的に行いましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯の間の清掃も忘れずに行ってください。
定期的な歯科検診とクリーニング、医師のアドバイスを受けることで、早期の虫歯や歯周病の発見、治療が可能となります。そして日常的に、『バランスの取れた食事を取る』『砂糖や酸っぱい飲み物の摂取を控える』『喫煙や、過度のアルコール摂取を避ける』など、健康的な生活習慣の維持を心掛けましょう。
丸1日歯磨きをサボった場合の影響は、個人や口内状態によって異なるため、必ずしも虫歯や歯周病に直結するわけではありません。しかし、継続的な歯磨きの欠如は口内の細菌の増加や歯垢の形成を促し、口腔トラブルのリスクを高める可能性があります。予防と早期のケアが大切なので、定期的な歯科受診と適切な口腔ケアを継続することをお勧めします。
(オトナンサー編集部)
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