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「親知らずを抜くと小顔になる」説、本当なの? “真偽”を歯科医師に聞いてみた

しばしば聞かれる「親知らずを抜くと小顔になる」説。「小顔になりたい!」をモチベーションに抜歯した人もいるようですが、果たしてこの説は本当なのでしょうか。

親知らずを抜くと小顔になる?
親知らずを抜くと小顔になる?

「親知らずを抜くと小顔になる」という話を聞いたことはありませんか。生え方の問題などで抜歯を勧められることが多い「親知らず」は、抜くときの痛みや腫れが大きいことが知られていますが、「小顔になるらしいって聞いて抜くことを決意しました」「小顔になるぞ…! と自分を奮い立たせて抜歯した」「親知らず抜いたから小顔に近づいてほしい」など、“小顔”をモチベーションに抜歯をした人も少なくないようです。

 しかし一方で、「本当に小顔になるの?」「親知らず抜いたけど全く変化なかった」「個人差ありそう」など、疑いの声もやはり聞かれます。「親知らずを抜くと小顔になる」説は本当なのでしょうか。クレモト歯科なんば診療所(大阪市浪速区)院長で歯科医師の呉本勝隆さんに聞きました。

小顔に“見える”効果は考えられるが…

Q.そもそも、「親知らず」とはどんな歯ですか。

呉本さん「親知らずとは奥歯の一種で、医学的な正式名称は『第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)』、または『智歯(ちし)』と呼ばれています。一般的に10代後半から20代前半にかけて生えてくることが多く、上顎の左右2本と下顎の左右2本の計4本生えることが一般的です。しかし、場合によっては生えてこないこともあります。

親知らずは、奥歯の中でも特に後ろに位置しており、他の歯に挟まれたり、十分にスペースがなかったりするため、痛みや腫れの他、周囲の歯を圧迫して移動させることがあります。また、虫歯や『智歯周囲炎』など、周囲の歯の神経や血管に圧迫をかけたり、ダメージを与えたりすることもあり、このような場合、抜歯が必要になるケースもあります。

親知らずが生える時期や生え方には個人差があり、時期や方向によってはそのままで問題なく、健康な歯として残ることもあります。ただし、定期的な歯科検診やエックス線検査など、3次元的な検査が必要です」

Q.「親知らずを抜くと小顔になる」という話がよく聞かれますが、これは事実ですか。

呉本さん「明らかな事実とはいえません。親知らずを抜くと、周辺の骨が少し痩せるため、抜歯前より小顔に“見える”効果はまれに考えられます。ただ、小顔になりたい(見られたい)がために親知らずを抜くのはよくありません。

親知らずを抜歯する際、腫れや痛みが生じることがあります。この腫れは、顔の軟部組織に影響を与えることがあり、腫れが引くまでの一時的な期間だけ、顔が膨らんだように見えることがあります。しかし、これは一時的な現象で、腫れが引けば元に戻ります。

つまり、親知らずを抜くことで、一時的に腫れが起こることや歯並びが改善されることはあるかもしれませんが、親知らずを抜くこと自体に『小顔になる効果』があるというのは、断定できません」

Q.その他、親知らずを抜歯する際の注意点とは。

呉本さん「親知らずが、顎の神経と接触しているケースの場合、抜歯によって神経が傷つく恐れがあるため、抜歯時は注意が必要です。その場合、パノラマ撮影やCT撮影など、3次元的な処置を行う必要があるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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呉本勝隆(くれもと・かつたか)

歯科医師

医療法人時和会理事長。クレモト歯科なんば診療所院長。日本歯科保存学会専門医。WCOI(世界口腔インプラント会議)専門医。子どもから高齢者まで幅広い年齢の患者が通えるよう、さまざまな診療内容を扱う。重度の虫歯治療(根管治療)から、歯周病やインプラント、口腔外科、審美歯科、ホワイトニング、入れ歯治療まで対応している。日本口腔インプラント学会会員、日本歯科保存学会会員、日本歯内療法学会会員、日本歯科顕微鏡学会会員。クレモト歯科なんば診療所(https://www.kuremoto-namba.com/)。

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