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人気YouTuberが急に意識失い、後頭部縫う大けが…実は危険な貧血 隠れた病気など医師に聞く

意外に軽視しがちな貧血ですが、実はいろいろな病気が隠れている可能性もあります。そこで医師に詳しく聞きました。

貧血だと思っていたら、思わぬ病気が?
貧血だと思っていたら、思わぬ病気が?

 3人組のYouTuber「くれいじーまぐねっと」の浅見めいさんが、6月10日にアップされた動画で、自宅で急に意識を失い、後頭部を縫う大けがを負ったと明かしました。トイレに行こうとした際、急にめまいが起きたといい、度々、貧血とみられる症状があったということです…。

 浅見さんの告白で注目を集めた“貧血”。女性に多いと言われていますが、どのような生活をしていると貧血になりやすくなってしまうのでしょうか。また、軽視しがちな貧血ですが意外な病気が隠れていたりもします…。そこで、貧血についてのさまざまな疑問を神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

脳貧血から腎臓病、リウマチの可能性も

Q.そもそも貧血とはどのような症状なのでしょうか。隠れている病気などはありますか。

尾西さん「貧血とは、血液中の赤血球に含まれ、酸素を運ぶ働きをするヘモグロビンが少なくなることを言い、全身の酸素が足りなくなることで『めまい、動悸(どうき)、倦怠(けんたい)感』などが現れます。徐々に減少して慢性的に貧血となっている場合は症状を感じていないことも多いため注意が必要です。

一口に貧血と言っても原因はいろいろな種類があります。一番多いのが『鉄欠乏貧血』と言って女性によくみられる貧血です。

その他、赤血球を作るのに必要な葉酸やビタミンB12が欠乏すると起きる『巨赤芽球性貧血』もあります。

また、『再生不良性貧血』という血液疾患による貧血、腎臓病、リウマチなどの疾患による貧血もあり、背景に病気が隠れていないかをしっかり調べる必要があります。

立ち上がったときに目の前が暗くなったり、ふらついたりする時は血液中のヘモグロビンが減少する医学的な“貧血”ではなく、低血圧などが原因で血液が頭に行かなくなった『脳貧血』ということもあり得ます」

Q.どのような日常生活を送ると貧血になりやすいのでしょうか。また、貧血になりやすいタイプはありますか。

尾西さん「鉄欠乏性貧血は(1)食事できちんと『鉄』が取れていない場合と、しっかり摂取はしているが(2)月経量が多かったり、潰瘍やポリープ、がんなどが原因で胃や腸などの消化管から出血している場合もあります。

面倒だからとおにぎりだけで済ませたり、ダイエットで食事制限をしているなど、食事できちんと鉄分を摂取していない場合は、しっかりと赤身のお肉やお魚など食べるようにしましょう。

月経量が多かったり、疾患が原因で出血しているパターンも考えられるので、婦人科検診や消化管の内視鏡検査などを定期的に受診し、子宮筋腫や胃潰瘍など出血の原因となる異常がないか調べるようにすることで発見が遅れるのを防ぐことができます」

Q.女性に多いといわれる貧血ですが、男性もなりやすいのでしょうか。男性の場合は、どのような病気が隠れていたりしますか。

尾西さん「女性は毎月の月経で血液が失われるため、男性に比べて貧血になりやすいのですが、男性が貧血になる場合は胃や腸管からの出血がないかを調べたほうが良いでしょう。また仕事で朝食抜き、昼食はおにぎりだけ、夜はお酒とおつまみだけといった食生活をしていると、鉄分が不足して貧血となってしまうので注意しましょう」

Q.貧血で意識がもうろうとするなどが続いた場合、どのようなタイミングで受診をすれば良いかなどの目安などはありますか。

尾西さん「意識がもうろうとする場合はなるべく早めに受診してください。また慢性的に貧血の場合は症状を実感していないことも多くみられます。来院される患者さんの中には、健康な人の半分以下しかヘモグロビン量がなくなっていて、輸血を必要とするレベルの高度の貧血なのに、ご自身では貧血症状を認識していないということもしばしばあります。そのため定期的に検査することが大切です」

Q.貧血を改善する方法はありますか。

尾西さん「自分でできる方法としては毎日3食きちんと食事をすること。特に肉や魚に含まれるヘム鉄は吸収されやすいので動物性のタンパク質もしっかりとるようにしましょう。

鉄は毎日消費され、月経も毎月来るので常に補っていないと足りなくなってしまいます。お食事だけで追いつかない場合はサプリメントなどを利用するのも一つです。

『貧血くらい、放っておいても…』と思っている人もいるかもしれませんが、貧血が長く続くと心臓に負担がかかり心不全になることもあります。

貧血が改善すると今まで気付いていなかった倦怠感がなくなったり、勉強に集中できるようになり、試験の成績が上がったという学生もいるので、きちんと治療をするようにしましょう」

 浅見さんは動画で食生活の改善を誓っていました。急に意識がもうろうとする、倦怠感があるといった症状がある人は、貧血を疑い、早めに受診し、改善するようしましょう。

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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