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生理痛がひどくて困る! 原因や緩和する方法とは

腹痛や頭痛など、生理で引き起こされる痛みや不快な症状を「月経困難症」といいます。その原因や適切な対処法を医師に聞きました。

生理痛の原因や緩和法は?
生理痛の原因や緩和法は?

 女性が毎月一度、必ず向き合わなければならない「月経」。これに伴う痛みは、腹痛だけでなく頭痛や腰痛を伴うこともあり、「月経困難症」と呼ばれます。日常生活に支障をきたすほどひどい症状が出る人にとっては、大変な期間です。また、あまりにひどい生理痛の場合、病気が隠れている可能性もあります。月経困難症はなぜ発症し、どのように緩和すればよいのでしょうか。医師の尾西芳子さんに聞きました。

生理による不快な症状、なぜ起きる?

 月経困難症とは、生理で引き起こされる痛みや不快な症状の総称です。腹痛や頭痛もこの中に含まれます。月経困難症の原因は次のように考えられています。

【生理前半】

原因は「プロスタグランジン」という物質です。子宮を収縮させて経血を押し出す大切な役割がありますが、体質などにより過剰に分泌されると子宮が強く収縮します。また、痛みを強める作用があるため、子宮収縮によるキリキリした痛みのほか、肩こりの悪化や腰痛、吐き気、下痢が起きることもあります。

【生理後半】

この時期に起きる痛みの主な原因は、子宮周りの血の流れが滞って充血する「うっ血」です。生理後半は、収縮を繰り返した子宮が充血している状態になるため、子宮の鈍痛や冷え、むくみ、頭痛などが起き、だるさを伴うことも多いようです。

 この他、子宮の出口が未成熟で固いため、経血を押し出そうと収縮が強くなり、痛みが出ることがあります。比較的、若年層に多く、年を重ねて子宮が成熟すると治まります。また最近では、冷えやストレスなど、現代社会を生きる女性特有の原因も増加しています。エアコンや薄着で血流が悪くなることや、精神的なストレスが生理痛の原因になります。

 腹痛は子宮収縮によるものですが、その他の症状はなぜ起きるのでしょうか。

 生理中は腰痛が出やすくなりますが、これは骨盤を緩めて経血を排出しやすくする「リラキシン」というホルモンが分泌されているからです。骨盤が緩むことで周囲の筋肉に負担がかかり、お尻の部分にある「仙骨」から上全体に腰痛が起きやすくなります。

 また、プロスタグランジンも腰痛の悪化を引き起こしますが、プロスタグランジンは胃腸や血管にも作用するため、分泌が多いと頭痛や下痢が起きたり、吐き気が出たりします。むくみやだるさは、ホルモンバランスや出血による貧血も関係しています。

生理痛を緩和させる対処法

 生理痛を今すぐ何とかしたい――。手軽に試せて効果が高い方法から、長期的な体質改善の方法まで、生理痛にはさまざまな対処法があります。

【温めて血流を改善する】

さまざまな方法の中で代表的なのが、とにかく温めて血流を改善することです。子宮収縮が強ければ痛みも当然強いため、温めることでその収縮を和らげます。むくみやうっ血の改善も期待できます。

生理痛がつらい時は、仙骨を温めるのが効果的です。お尻の割れ目のすぐ上辺りに位置する骨で、骨盤の出っ張りを横に結んだ線より少し下、お尻に近い逆三角形の形をした骨です。子宮の真裏なので効率よく温められる上、骨盤の緩みで負担がかかった筋肉をほぐす効果もあります。痛みが強い時や冷えを感じる時は、へその下にカイロを貼り、腹巻きをするのがお勧めです。ただし、低温やけどに注意してください。

【ハーブティーを飲む】

香りによるリラックス効果に加え、体を温める効果やハーブそのものの効用などが期待でき、生理中にピッタリの飲み物です。体を冷やすコーヒーや紅茶より、ハーブティーを飲んでみてください。特にお勧めなのは以下です。

・チェストベリー(婦人科全般に効く万能ハーブ。黄体ホルモンの分泌促進作用がある)
・カモミール(ストレスや不眠に有効で、胃腸を整える効果がある。優しくて甘い香り)
・ラズベリーリーフ(出産時の母体回復で知られ、生理痛や月経前症候群にも効果あり)

ハーブティー以外にも、ショウガ茶やくず湯など、ノンカフェインで体を温める飲み物を積極的に飲んでみましょう。

【足浴、入浴】

湯船にしっかりと浸かることをお勧めします。水圧が全身に掛かることで、シャワーよりも高いマッサージ効果があるためです。出血量が多くて湯船に浸かりたくない場合は、足だけ温める足浴を試してみましょう。可能ならば、少し深めのバケツなどで足首まで足浴すると効果的です。レッグウオーマーもそうですが、足を温める時は足首の位置まで温めることがポイントです。

【ストレッチをする】

少しでも動ける体調ならば、血流改善のために体を動かしてみてください。痛みが強い時や気持ち悪い時は無理してはいけませんが、ストレッチで筋肉を伸ばすことでリラックス効果も得られます。

1.骨盤を回す
 まっすぐ立って肩幅に足を開き、手を腰に当てて左右それぞれ5回ずつゆっくりと円を描くように回します。
2.体を縦に伸ばす
 両手をバンザイした後に両手のひらを合わせ、そのままゆっくり伸びて深呼吸します。立った状態でも、座ったままでもオーケーです。
3.仰向けひねり
 ベッドなどに仰向けで寝て腕を広げ、両膝を立てます。そこから、左右それぞれゆっくりと膝を傾けて骨盤をひねります。腰が痛くない程度にしてください。

 ストレッチで生理痛が和らいだら、階段の上り下りや近所の散歩などで全身を動かすと効果が上がります。

【生活習慣の見直し】

少し時間はかかりますが、生理中だけでなく生活習慣全般を見直してホルモンバランスを整える方法です。本来、この方法で根本から生理痛を改善するのが、体にとって最も良い方法と言えます。なるべく早寝早起きし、日光を浴びることでホルモンバランスのリセットができます。そもそも睡眠不足では健康な体になることができません。

生理中の食事は、冷たい飲食物やカフェイン、砂糖をなるべく避けましょう。アルコールも多量の摂取は避けたいところです。貧血対策に鉄分やビタミンB、カルシウムを摂取すると効果的です。レバーや赤身の魚、豚肉、小松菜などを摂取して、血液をしっかり作れるようにしておきます。また、体を温めたり、血液の元となるタンパク質をしっかりと取ることも大切です。

病気のサインかも? 強い生理痛に注意

 程度に差はあるものの、誰にでも起きうる生理痛。痛みがひどくて寝込んでしまうようでは問題です。出血が多かったり、徐々に悪化したりするなどの症状には要注意です。病気が原因となっている場合もあるので、つらい時は我慢せずに産婦人科で相談を。

【機能性月経困難症】

特定の婦人科疾患(後述)がなくても、子宮収縮のためのプロスタグランジンが過剰分泌し、寝込むほどの痛みが出るケースがあります。この症状は病気ではないので、「機能性月経困難症」と呼ばれています。腹痛のほかにも腰痛や頭痛、下痢や倦怠(けんたい)感などの症状もあり、ストレスを強く感じてイライラするなど、精神的にもつらい状態になることがあるようです。

鎮痛薬で痛みを抑えたり、漢方薬で体質改善をしたりするなどの対処法があります。経口避妊薬の低用量ピルの処方で改善される人もいます。ピルを飲むことでプロスタグランジンを分泌する子宮内膜の増殖が抑えられるため、痛みを軽減することができます。

【子宮内膜症】

本来、子宮内膜は子宮本体の中にしかできませんが、子宮以外の卵巣や卵管に内膜ができる病気を「子宮内膜症」といいます。女性の7~10%に見られ、特に、性成熟した20~40代に多い病気です。特徴は、生理のたびにだんだんひどくなる痛み。進行すると痛み止めも効かないほどの痛みになります。

本来の生理は、不要になった子宮内膜がはがれ落ち、経血となって膣から出ていきますが、生理中は子宮以外にできた内膜もはがれ落ちます。ところが、この場合は子宮ではないため出口がない状態で、経血が体内にたまったり、他の臓器と癒着したりすることもあり、生理痛のほか下腹部痛、腰痛、性交痛、泌尿器症状、消化器症状、皮膚の病変など多様な症状が現れます。

治療は、卵巣の働きを抑える薬や低用量ピル、手術が選択されることもあります。

【子宮筋腫】

子宮の筋肉が増殖して瘤(こぶ)のように大きくなる良性の腫瘍です。命の危険はありませんが、できた場所や大きさによっては生理中の子宮収縮が大きくなり、生理痛がひどくなることがあります。痛みのほか、不正出血や、出血の量が多かったり、レバー状の血の塊(かたまり)が出たりするなどの症状があれば産婦人科で相談してください。

早めに産婦人科で相談を

「生理痛には大きな病気が潜んでいる場合もあります。たとえ病気がなくても、元々プロスタグランジンの分泌量が多い方は毎月大変な痛みを感じることになります。医師に適切な薬をもらうことで、痛みがぐっと楽になるはずです。以前より生理痛がひどくなった場合は、睡眠不足やストレスをため込んだ生活を続けていないか、自分の生活習慣を見直してください。子宮内膜症のように、だんだん痛みが進行する場合は医師の診察と処置が必要です。少しでも不安を感じたら、早めに産婦人科で相談しましょう」(尾西さん)

(ライフスタイルチーム)

尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は高輪台レディースクリニック副医院長。「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性のすべての悩みに答えられるかかりつけ医を目指している。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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