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最近「おりもの」のニオイがキツい…でも「更年期だから」と放置したらダメな理由って?【産婦人科医が回答】

更年期に入り、「おりもののにおいがキツくなった」と感じる女性は少なくないようです。産婦人科医に聞いてみると、明確な理由がありました。

おりもののニオイが「キツくなった」と感じたら…
おりもののニオイが「キツくなった」と感じたら…

 時期に個人差はあれど、女性の誰もがいつか迎える「更年期」。更年期以降、女性の体にはさまざまな変化や不調が現れやすくなりますが、そのうちの一つとして「最近おりものが臭い」「更年期になって、おりもののにおいがキツくなった気がする…」など、「おりもの」の変化の実感と、それに伴う悩みを抱える女性が少なくないようです。

 実際のところ、更年期を迎えた女性の「おりもの」のにおいが強くなることはあるのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック院長で産婦人科医の尾西芳子さんにお聞きしました。

膣内で細菌、カビが増え…

Q.そもそも、女性における「更年期」とは何ですか。

尾西さん「更年期は『閉経の前後5年間』と定義されており、日本人の平均閉経年齢が50歳なので、およそ45歳から55歳の期間を指します。ただし、閉経年齢は個人差が大きく、40歳未満で閉経してしまう『早発閉経』の人もいれば、55歳まで月経があるという人もいらっしゃいます。

更年期は、卵巣で作られる女性ホルモン『エストロゲン』の量が急激に低下するため、心身にさまざまな変化が出てきます。症状も個人差が大きく、めまいや頭痛、肩こりや倦怠(けんたい)感、関節痛、膣の乾燥感、性交痛といった身体の症状のこともあれば、イライラやうつのような気分の落ち込み、不眠などの精神的な症状として現れることもあります」

Q.更年期の時期に、「おりもの」のにおいが強くなることは実際にあるのでしょうか。

尾西さん「あるといえます。更年期を迎えると少しずつ『おりもの』が減少し、また膣の粘膜も薄くなってきます。そのため、それまではおりもので洗い流されていた雑菌やカビが増殖しやすくなり、においが強くなるだけでなく、『細菌性膣炎』や『膣カンジダ』になりやすくなってしまうのです。

また、膣の粘膜が薄くなったり、膣が萎縮して狭くなったりしてくると、性交痛が出てきます」

Q.このような「おりもの」の変化は、放置しても問題ないのでしょうか。

尾西さん「更年期は、おりものが減少してほとんど出てこないのが通常ですが、『においがきつい』『黄色いおりものが出る』『白っぽいおりものが出る』『かゆみがある』などの場合は、細菌やカビが膣内で増えてしまっている可能性があります。

そのような状態で放置した場合、自分の免疫力がしっかりある場合は自然治癒することもありますが、どうしてもおりものが減ってしまっているために治りにくく、悪化してしまうと痛みが出ることもあります。放置せず、早めに婦人科を受診しましょう」

Q.更年期による体の変化や症状と、うまく付き合っていくためにできることとは。

尾西さん「更年期と聞くと『つらい、しんどい』というイメージがあり、怖いと思っている人も多いと思いますが、女性なら誰しも通る道です。症状の種類や強さは個人差が大きく、環境要因も大きいといわれています。

更年期を避けて通ることはできないのですが、症状が出てきた場合は、減少してしまったホルモンを補う治療(HRT)や漢方薬、プラセンタなどいろいろな治療法があり、症状を和らげてその時期を乗り越えることができます。少しでも『つらいな』と感じた場合は、婦人科へ相談に行ってみましょう。特に『女性ヘルスケア専門医』の医師は、より詳しく更年期について学んでいるため、治療の幅も広がるかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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