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急に「乗り物酔い」するようになった…実はメニエール病、脳腫瘍の疑いも? 内科医に聞いた

「大人になってから、急に乗り物酔いしやすくなった」という人はいませんか。そうした場合、実は病気が潜んでいる可能性が考えられるようです。内科医に聞きました。

急に乗り物酔いするように…病気の可能性も?
急に乗り物酔いするように…病気の可能性も?

 ゴールデンウイークもそろそろ終盤。旅先や帰省先から、車や電車、船、飛行機に乗って自宅へ戻る人も多いと思います。乗り物での長時間の移動といえば「乗り物酔い」です。大人になるとあまり乗り物酔いしなくなる人が多いと思いますが、中には「大人になってから、急に乗り物酔いをするようになった」という人もいるようです。

 しかし、これまで乗り物酔いをしなかった人が急に酔うようになった場合、何らかの病気が潜んでいることも考えられるそう。どんな病気の可能性があるのか、内科医の市原由美江さんに聞きました。

耳や脳の病気の可能性あり

Q.そもそも、「乗り物酔い」はなぜ起こるのですか。

市原さん「乗り物酔いは、医学用語で『加速度病』『動揺病』といいます。人間の平衡感覚は、耳の内耳にある部位『前庭(ぜんてい)』『三半規管』で調整されており、乗り物による振動や前後・左右・上下への動き、発車や停止などの刺激は、内耳を通じて脳に伝達されます。これらの“慣れていない情報”が脳へ伝わると、人によっては自律神経が乱れてしまい、結果として頭痛やめまい、吐き気、嘔吐(おうと)、冷や汗といった症状を引き起こします」

Q.「大人になってから、急に乗り物酔いするようになった」場合、どのような原因が考えられますか。病気が潜んでいる可能性もあるのでしょうか。

市原さん「耳や脳の病気の可能性があります。具体的には『メニエール病』や『良性発作性頭位めまい症』といった耳鼻科領域の病気、『脳梗塞』や『脳出血』、『脳腫瘍』といった脳外科領域の病気が挙げられます。症状が続くようであれば医療機関を受診しましょう」

Q.大人になってからも乗り物酔いが治らない場合の対処法、治療法とは。

市原さん「治らない場合、抗ヒスタミン薬の内服によって症状の予防・緩和をすることができます。それでも改善しないときや、症状が続くときは、先述したような疾患の可能性があります。耳鼻科領域の病気であれば内服薬で治療することがほとんどです。脳外科領域の病気の場合は、薬や手術など病態に合わせた治療法が選択されます」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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