吐き気とセットの「頭痛」「腹痛」、実は“深刻な病気”のサインかも? 内科医に聞いた
「頭痛や腹痛はいつものこと」という人でも、吐き気や嘔吐がセットになっていたら不安になるもの。実は、この「吐き気」が深刻な病気のサインとなっていることもあるようです。
自身や家族が突然、吐き気や嘔吐(おうと)を伴う頭痛、腹痛に見舞われた経験はありませんか。「吐き気がセットになっていると不安」と感じる人もいると思いますが、実際、頭痛や腹痛と同時に起こる吐き気・嘔吐は、深刻な病気のサインとして現れているケースもあるようです。
吐き気や嘔吐とともに頭痛、腹痛が起こった際、どんな病気が疑われるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
「命に関わる病気」の可能性も
Q.吐き気や嘔吐を伴う「頭痛」が起こった際、どんな病気が疑われるのでしょうか。
市原さん「脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎、片頭痛などが挙げられます。片頭痛以外は全て、命に関わる病気です。
脳出血やくも膜下出血といった頭蓋内の出血では、突然の頭痛や吐き気、嘔吐、目まいや麻痺、意識障害などさまざまな症状を呈する可能性があり、治療を急ぐべきです。
脳腫瘍は、起床時に頭痛を感じ、吐き気や嘔吐、目の見え方の異常などを伴います。髄膜炎は、脳を守っている髄膜に細菌やウイルスなどが侵入することで炎症を起こし、頭痛や吐き気、嘔吐、首の硬直、発熱、意識障害、けいれんなどを伴います。命に関わるので、異常を感じたら早めに病院を受診しましょう。
片頭痛も、頭痛とともに吐き気や嘔吐を伴うことがありますが、初回でなければ、片頭痛持ちの人は自分のいつもの症状を知っているはずなので、急ぐ必要はないでしょう」
Q.吐き気や嘔吐を伴う「腹痛」の場合ではどうでしょうか。
市原さん「感染性胃腸炎、虫垂炎、胆嚢炎(たんのうえん)、腸閉塞、糖尿病性ケトアシドーシスなどの可能性が疑われます。
感染性胃腸炎は吐き気や嘔吐だけでなく、発熱や下痢を伴うことが多いです。虫垂炎、胆嚢炎は腹痛とともに嘔吐、発熱を伴うことがあります。虫垂炎や腸閉塞は、腸に穴が開いて『腹膜炎』になると命に関わります。胆嚢炎は、炎症が広がると『敗血症』となり、同じく命に関わります。
また、糖尿病性ケトアシドーシスは高血糖により起こりますが、吐き気や嘔吐とともに腹痛や意識障害を伴うことがあり、命に関わるので危険です」
Q.自分自身や家族、周囲の人などが、吐き気や嘔吐を伴う急な頭痛、腹痛に見舞われた場合、どうすればよいでしょうか。
市原さん「嘔吐を伴う頭痛や腹痛は、片頭痛、感染性胃腸炎以外は全て早めに治療をしないと危険な病気が多いです。しかも、片頭痛や感染性胃腸炎はある程度自分でも判断できますが、他は自己判断が困難です。
特に、脳出血やくも膜下出血のような緊急性を要し、かつ安静が必要な病気は救急車を呼ぶ必要があるため、急な頭痛と嘔吐には注意してください。判断に困ったら、早めに医療機関を受診することです」
(オトナンサー編集部)
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