名前そっくり…「偽痛風」って何? 「痛風」と同じく“激痛”なの? 整形外科医に聞いた
激痛で知られる「痛風」ですが、よく似た名前の「偽痛風」という病気があることを知っていますか。どんな病気なのか、整形外科医に聞いてみました。
若年層にも発症のリスクがあるといわれる「痛風」。激痛を伴うことが知られているため、発症におびえる人も少なくないでしょう。一方、よく似た名前の「偽痛風(ぎつうふう)」という病気も存在しますが、「『偽』ってどういう意味なんだろう」「痛風とどう違うの?」「偽痛風も激痛?」など、疑問の声が多く聞かれます。
「偽痛風」とはどんな病気なのか、痛風との共通点はあるのか、お茶の水セルクリニックの整形外科医・樋口淳也さんに聞きました。
「主な発症部位」に違い
Q.そもそも、「痛風」とはどんな病気ですか。
樋口さん「痛風とは、血液中の尿酸値が上昇し、飽和溶解度を超えることで関節内に生じる『尿酸塩結晶』を、白血球が処理する際に起こる急性関節炎のことです。医学的には痛風、あるいは『痛風発作』といいます。
症状としては関節の痛み、腫れや赤み、熱感が生じます。主に、足の親指(母趾)の付け根の関節に起こることが多いですが、足関節や足の甲、アキレス腱や膝関節、手関節などにも起こることがあります。原因はさまざまですが、暴飲暴食や肥満、激しい運動などをしている人、また20歳以上の男性に多いとされています」
Q.一方、「偽痛風」とは何ですか。
樋口さん「偽痛風も、痛風と同様に急性の関節炎を生じますが、その症状は尿酸ではなく、ピロリン酸カルシウムの結晶によるものです。関節の痛み、腫れや赤み、熱感など臨床症状が似ているため、『偽痛風』と表現されます。
基本的に、痛風と偽痛風はいずれも『結晶誘発性関節炎』というもので、同様のメカニズムで腫脹や痛みを招いているものと思われます。そのため、偽痛風の痛みについても、痛風と同様だと考えられます。
痛風との共通点としては、急に起こる関節症状が挙げられますが、発症部位として主に膝関節に起こりやすいという違いがあります。ただし、発症における明確な原因は分かっていません」
Q.偽痛風を発症しやすい人の特徴はありますか。
樋口さん「偽痛風は高齢者に起こりやすいといわれています。ある報告では、偽痛風と診断された患者さんの平均年齢が72歳であったとのことです。男女差は特にありません」
Q.偽痛風になったら、どんな治療を行うのですか。
樋口さん「痛風と違い、明らかな原因が分かっていないため、基本的には対症療法が主体となります。具体的には、鎮痛薬の内服(非ステロイド性抗炎症薬)や外用剤、関節液の排出、ステロイド注射などを行います。症状が強く、日常生活に支障が出るようであれば、病院を受診して適切な治療を受けるのがよいと考えられます。
なお、原因不明のため再発することがありますが、原因にアプローチして完治させることはできないため、症状の出現に応じて対応することになります」
Q.偽痛風を予防する方法はあるのでしょうか。
樋口さん「繰り返しになりますが、偽痛風は明確な原因が不明のため、予防法はありません。発作が出た際には患部の安静を図り、必要に応じて医療機関を受診するようにしてください」
(オトナンサー編集部)
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