口臭の原因にも!? 舌の表面が白くなる「舌苔」、その原因と体への影響とは
舌の表面に白く付着する「舌苔」。その正体や体への影響、適切な除去方法について、歯科医師に聞きました。

舌の表面が白く覆われる「舌苔(ぜったい)」について先日、ネット上で話題になりました。舌苔は、口臭の原因や体調のバロメーターと言われますが、舌磨きを丁寧に行っても改善されなかったり、磨き過ぎによって舌を傷めてしまったりするケースが多いようです。SNS上などでは「体調の優れない時に舌苔が増えます」「きれいに除去してもまたすぐ白くなる」「歯ブラシで磨いていいの?」など、さまざまな声が寄せられています。舌苔の正体や体への影響、適切な除去方法について、歯科医師の池浦一裕さんに聞きました。
正体は老廃物、口臭の一因となることも
Q.舌苔とは何でしょうか。
池浦さん「舌苔は、主に舌の表面を構成している細胞が新しく生まれ変わる時に剥がれ落ちてきた塊と、口腔内に存在する多数の細菌で作られています。皮膚でいう『垢(あか)』に相当する汚れ(老廃物)です(※1)。
健康な舌は淡紅色(淡いピンク色)で、表面は顕微鏡で拡大して観察すると、実は平滑(ツルツル)ではなく無数の乳頭という突起で覆われています。乳頭はその形態から専門的には4種類に分けられますが、舌を出した時に見える部分に密生し、舌表面の外観を形成している乳頭が糸状乳頭です。糸状乳頭は、肉眼では白く見えることと、表面の細胞が角質化していることが特徴。その名の通り、糸のような線維状の突起となっており、食べ物をこすり取るのに役立っています。かき氷のシロップなど色素を多く含んだ食物を食べた直後に舌の表面が一時的に染まるのは、線維状の突起に色素が沈着するためです。
糸状乳頭に覆われた舌表面は、例えるなら芝生やじゅうたんのような状態。そのため、いろいろな汚れ(表面の角質がはがれた細胞の塊、口腔内細菌、食べかす)が引っかかります。これが、舌苔の正体です。毎日規則正しく食事をし、しっかりかんでいれば、唾液による口腔内の湿潤と洗浄が行われ、正常な細菌叢(そう)が保たれます。しかし、健康を保つための環境が崩れると洗浄が行われず、より多くの舌苔が付着しやすい状態になります。『舌は健康のバロメーター』と言われるゆえんです(※2)」
Q.体にはどのような影響がありますか。
池浦さん「健康な状態でも舌苔は日々付着するため、舌苔が存在しても不快な症状がなければ健康上の影響はないと言えるでしょう。しかし、舌苔は老廃物であり、その中には多数の細菌も存在します。口臭を発生させる一要因ともなりうるので、舌苔の量だけでなく質的な変化にも注目する必要があります(※3)。
舌苔が付着することで、口臭や口腔内の痛み、苦みなどの不快な症状がある場合、『なぜ舌苔が付着し不快症状が出現したのか』=『口腔内の健康のバランスがどのように崩れているのか』を考える必要があり、専門的な医療機関で診察を受けることをお勧めします。
専門的には、舌苔の色調や量、付着状態、付着面積、さらに湿潤性か乾燥性かなどを観察しますが、舌苔ができる背景は患者さんによってさまざまです。全身疾患が関わることもあれば生活習慣が関わることもあり、体への影響について一概に答えることはできません」
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