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育児の“選択と決め事”に疲弊…親を苦しめる「決断疲れ」、どう向き合う? 子育てのプロに聞く

精神的負担を軽くする「4つ」の意識

Q.夫婦関係や、実家・義実家との関係性は、育児の決断疲れに何らかの影響を与えると思われますか。

雨宮さん「夫婦の価値観が完全に一致することは、なかなかありません。ましてや、お互いの両親が関係してくると、価値観が“六者六様”になってしまいます。入念にリサーチして幼稚園を選んだのに『そんな早くから行かせなくてもいいんじゃない?』、お菓子をあげるタイミングを決めているのに『食べたそうだし、一口あげてもいいよね?』など、孫への愛情たっぷりの祖父母が持つ、自分とは異なる価値観に困ることもあります。

そんな場面でも、『私は◯◯という考えなのでこうしています』と伝えることができ、それを受け入れてくれる実家・義実家との関係性があれば、非常に助かります。そうでない場合、自分の決断を認めてもらえないことが心に負担をかけるかもしれませんが、相手がすぐに100%受け入れてくれなくても、諦めずに自分たちの決断の方針を伝えていく努力は必要です」

Q.育児の決断疲れによる精神的負担を軽くするために、日常生活上でできることは。

雨宮さん「決断疲れを少しでも和らげるために、次の4つの工夫や意識を心掛けてみましょう」

【自分なりのルールを持つ】

決断をするための「自分なりのルール」をつくっておくとよいでしょう。決まったルールがあれば、決断する回数が減るからです。例えば、「同じことを3日以上は考えない」「悩んだら即決はせず、必ず一晩寝かせる」などの他、「一度決めたことでも、2回までなら変更してよい」など、ある程度柔軟性を持つとよいでしょう。

【誰かに相談をする】

本当に迷っているときは、誰かに話を聞いてもらうのも大事です。迷いや決断を言葉にすることで、自分の導き出した答えに、より自信が持てます。

【メリットとデメリットを書き出す】

客観的に判断できるように、メリットとデメリットを箇条書きにするのも有効です。デメリットを解消する方法が見つかったら、一つずつ消していきましょう。

【子どものせいにすることがないように意識する】

子どもから想像通りの反応がなかったためにがっかりし、つい「せっかく買ったのに」「せっかく作ったのに」と思っても、それを決断したのは自分であり、子どもの責任ではありません。そのことを肝に銘じておけば「しょうがないか」と気が楽になります。

Q.決断に疲れている親に伝えたいことは。

雨宮さん「子育てに正解はありません。同じ親から生まれたきょうだいでも、親の年齢や経済状況など、誕生時の環境はそれぞれ必ず異なるため、『初めてのこと』はとても多いものです。よく『上の子と同じだけしてあげたい』という思いを耳にしますが、『全く同じ』には決してなりません。だからこそ、その都度、その子どもに合ったことを意識して決めてあげるとよいでしょう。

どこかの誰かに指摘される筋合いはありませんし、誰かの経験も単なる参考にしかなりません。自分の意思で判断し、自分が最良と思う決断に『これでいいのだ』と自信を持ってください。お子さんのことを一番分かっているのは、やはり一番近くにいる親なのです」

(オトナンサー編集部)

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雨宮奈月(あめみや・なつき)

教育・子育て心理アドバイザー

IQとEQを育てる総合学習教室HEC Kids Educationを主宰。コミュニケーション能力とロジカルシンキングを伸ばす英語コース、知開コース、表現コースをオリジナルのメソッドで指導。子どもの英語劇やミュージカルをプロデュース。子育てや学習の環境を「丸ごと指導」するカウンセラーでもあり、米国で幼少期を過ごした帰国子女、3児の母でもある。HEC Kids Education(https://heckidsedu.com)。

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