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転んだりなくしたり…子どもの「失敗」に親が取るべき行動は? NGワードも?

子どもが何か失敗したとき、親に求められる意識や接し方とはどのようなものでしょうか。子育てアドバイザーに聞きました。

子どもが失敗したとき、どう声を掛ける?
子どもが失敗したとき、どう声を掛ける?

「階段で遊んでいて転んだ」「外出先でおもちゃをなくした」。このような失敗をした子どもを、「そんなところで遊ぶからでしょ」「だから持ち歩くなって言ったでしょ」などと叱った経験のある親も多いのではないでしょうか。

 子どもの失敗の受け止め方や、叱るときの言葉について悩む親は多く、ネット上では「いつもきつい言い方になってしまう」「『怒る』と『叱る』の使い分け方が分からない」など、さまざまな声が上がっています。

 子どもが失敗したとき、親に求められる意識や接し方とはどのようなものでしょうか。子育てアドバイザーの雨宮奈月さんに聞きました。

子どものタイプを見極める

Q.一般的に、失敗してしまったときの子どもは、どのような心理状態になるのでしょうか。

雨宮さん「失敗に対する心理状況は、お子さんの元々の気質と育っている環境でそれぞれ異なります。走って転んで『痛い』、おやつをこぼして『悲しい』、けんかをして『悔しい』…大人と同じで、子どもも失敗したときはとても嫌な気分になるものです。

そして、その後に続くのが『○○(誰か)に怒られる!』かもしれません。怒るのは両親や先生、友達などさまざまでしょうが、相手が『どんな気持ちになるだろう』と想像できる子なら誰しも思うことです。よく怒られている子は失敗したときの自分の気持ちよりも、『また怒られちゃう、どうしよう』という感情の方が大きいこともあるかもしれません」

Q.子どもに対する「怒る」と「叱る」には、どのような違いがあると思われますか。

雨宮さん「一般的に『怒る』とは、漢字の中に『心』があるように“感情”の一つで、自分の感情を相手にぶつける意味合いが大きいです。一方の『叱る』は、漢字に『口』があるように、言葉で相手を指導することや、目上の人間が相手のことを思い、改善してほしいと強めの口調で教えるといった意味合いが大きいです。最近は『怒る』『叱る』の違いを意識して、子育てに取り組んでいる人が多いようですね。

ただ、子育てにおいて、子どもが何かしてしまったとき、冷静に何がいけなかったのかを上手に伝えられるとよいのですが四六時中、毎日のこととなると、怒らないで上手に叱るのは至難の業です。私も『先生』の立場でなら上手に叱れるのですが、『母親』としては正直そうもいかないことが多々あります。

逆に、冷静にならず感情的に怒ることも、時には必要だなと感じたこともあります。親も一人の人間としてわが子と対等に向き合い、正しいことばかりではなく、どう思ったかを真剣に相手にぶつけてもよいと思うのです」

Q.子どもが失敗したとき、親が取るべき適切な行動や振る舞いとはどのようなものだと思われますか。

雨宮さん「子ども自身がどういうタイプの人間で、親がどういう反応(結果)を求めているかによって何が適切か変わってきます。子ども自身が失敗を悔やんでいる場合は、気持ちに寄り添ってあげるだけでよいときもありますが、その慰め方もタイプによって正解が変わります。失敗を次に生かしてほしいという場合もあるでしょう。

例えば、『自分が何もやる気が起きなくなるくらい大きな失敗をしたとき』に置き換え、誰かに慰めてもらうときに、どんな言葉を掛けてもらいたいか考えてみてください。きっと人それぞれ違うでしょうし、誰に言われるのかでも異なるでしょう。

・かわいそうに、つらいね 【共感型】
・そういうことをしなければよかったんだよ 【説教型】
・もしかすると、こうなんじゃない? 【分析型】
・大丈夫、次にいこう! 【励まし型】
・違うことをしに出掛けよう 【代替型】
・そうだったんだね 【見守り型】
・しょうがないね、どんまい! 【気にしない型】

これを、『失敗して泣いている子どもに声を掛けるとき』で考えてみてください。元気になってほしいのか、一緒に解決したいのか、自力で解決できるように導きたいのか、声掛けの後にどのような“結果”を求めているかによって使い分けてみましょう。お子さんのタイプと反応を見極めながら、効果的なパターンを見つけてください」

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雨宮奈月(あめみや・なつき)

教育・子育て心理アドバイザー

IQとEQを育てる総合学習教室HEC Kids Educationを主宰。コミュニケーション能力とロジカルシンキングを伸ばす英語コース、知開コース、表現コースをオリジナルのメソッドで指導。子どもの英語劇やミュージカルをプロデュース。子育てや学習の環境を「丸ごと指導」するカウンセラーでもあり、米国で幼少期を過ごした帰国子女、3児の母でもある。HEC Kids Education(https://heckidsedu.com)。

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