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台風接近! いつ避難? 備蓄は何日分? 2000人に聞く 専門家のアドバイスも

台風や大雨に備えてどのような備えをしているか、2000人にアンケートを行うとともに、防災の専門家にアドバイスを聞きました。

台風15号の影響で、浜松市では大雨で二俣川が増水し、橋が流された(2022年9月、時事)
台風15号の影響で、浜松市では大雨で二俣川が増水し、橋が流された(2022年9月、時事)

 秋は台風シーズンで災害が多発する時季です。災害には備えが大切ですが、なかなか実践できない人も多いようです。台風や大雨に備えてどのような備えをしているか、2000人にアンケートを行うとともに、防災の専門家にアドバイスを聞きました。

「浸水深」や「逃げるルート」知って

 アンケートは9月15日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、男女2000人から有効回答を得ました。

 まず、自宅の状況について聞きました。「ご自宅は洪水や内水氾濫(側溝や排水路などから水があふれること)の浸水域に入っていますか」と尋ねると、「はい」が18.7%、「いいえ」が62.5%で、「調べ方が分からない」16.3%、「調べようと思わない」2.6%となりました。

「浸水域に入っていますか」で「はい」の人に、「自宅の浸水深」などの知識を複数回答可で尋ねたところ、「自宅の浸水深」を知っている人は42.2%で、「浸水域の外までの移動ルートや所要時間」を知っている人は17.4%、「水が引くまでの日数」を知っている人は10.4%でした。一方、3つとも知らない人が46.3%と半数近くに上りました。

 次に、「ご自宅は『土砂災害警戒区域』に入っていますか」と聞くと、「はい」が7.8%で、「いいえ」が74.3%、「調べ方が分からない」14.4%、「調べようと思わない」3.6%でした。さらに、「はい」の人に「土砂災害警戒区域の外までの移動ルートや所要時間を知っていますか」と聞くと、「知っている」48.1%、「知らない」51.3%でした。

 ここまでのアンケート結果を、近畿大学生物理工学部の島崎敢准教授に見てもらいました。

島崎さん「浸水域かどうか、土砂災害警戒区域かどうかについて、『調べ方が分からない』『調べようと思わない』という人が計2割近くです。単に『ハザードマップを見ましょう』と呼び掛けるだけでなく、情報のアクセス方法別(PC、スマホ、紙)に具体的な調べ方を伝える必要がありそうです。

また、自宅が浸水域にあることは知っていても、『浸水深』や『逃げるルート』を知っている人は少ないですね。浸水深は、避難行動の可否や方法(垂直避難ができるかどうか)などを決める、命に関わる情報なので、ぜひ押さえておきたいです。30センチと3メートルでは全然意味が違います。

『水が引くまでの時間』は予想通りほとんどの人が知りませんでした。この情報は、まだハザードマップに載せていない自治体も多いので仕方ない面もありますが、一方で備蓄の量を考える上で、とても重要な情報です。垂直避難によってひとまず命が助かったとしても、ライフラインが止まって、他へ移動できない建物の中で長時間籠城するのは大変です。

土砂災害警戒区域については、全体的に浸水域よりも皆さん気を付けている感じですね。常に斜面が見えているので意識しやすいのでしょうが、それでもまだ半数以上が移動ルートや時間が確認できていません。ぜひ確認しましょう。土砂災害は突然起きるので、一定以上の雨が降ったら念のため避難するのが重要ということも意識してほしいです」

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島崎敢(しまざき・かん)

近畿大学生物理工学部准教授

1976年、東京都練馬区生まれ。静岡県立大学卒業後、大型トラックのドライバーなどで学費をため、早稲田大学大学院に進学し学位を取得。同大助手、助教、国立研究開発法人防災科学技術研究所特別研究員、名古屋大学未来社会創造機構特任准教授を経て、2022年4月から、近畿大学生物理工学部人間環境デザイン学科で准教授を務める。日本交通心理学会が認定する主幹総合交通心理士の他、全ての一種免許と大型二種免許、クレーンや重機など多くの資格を持つ。心理学による事故防止や災害リスク軽減を目指す研究者で、3人の娘の父親。趣味は料理と娘のヘアアレンジ。著書に「心配学〜本当の確率となぜずれる〜」(光文社)などがあり、「アベマプライム」「首都圏情報ネタドリ!」「TVタックル」などメディア出演も多数。博士(人間科学)。

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