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オフィス北野内紛から見える、森昌行社長の“したたかなプロデューサー”の顔

税金を抑えるのも経営者の手腕の一つ

 最後に赤字ですが、事情が分からないので何とも言えない部分がありますが、中小企業において赤字は必ずしも「悪」ではありません。少々語弊があるかもしれませんが「ちょっと赤字、ちょっと黒字」くらいで決算を締め、税金を抑えることが経営者の腕の見せ所であり、大きな利益を出して税金を多く収めることだけが良いことではないのです。

 また、赤字分はそれ以降の決算に持ち越せるため、翌期に利益を相殺してくれる効果があります。不正に赤字を作るような行為はいけませんが、たまたま出た「赤字」はプラスに働くことが多いのです。何期も連続して赤字であれば経営者が責められてしかるべきですが、何期かに1回赤字を出して批判されるのは少し気の毒に感じます。

 今後の展望ですが、このけんかはたけし軍団の方々がいくら糾弾しても絶対に勝てないでしょう。結局、オフィス北野は65%の株を握る森社長のものだからです。今回の騒動が長引いて「解散やむなし」となれば、会社が長年蓄積してきた財産は株主の持ち分に応じて還元されます。

 たけしさんが「置いてきた」という数億円の退職金も含めて、たけしさんから株を贈与された軍団の面々と森社長、役員で分け合うことになり、当然、65%の株を持つ森社長が最も多くの財産を得ることになります。会社の解散は2/3の株主(67%)の同意が必要なため、森社長はあと2%ほど足りませんが、株を持つ他の役員が同意すれば、解散が決議されることになります。

「換金性も流動性もない株」が換金できるチャンスであり、対立したままずるずると経営を続けて資産が目減りするよりは、「今なら」という気持ちが芽生えても不思議ではありません。追い詰められているように見えて、実はキャスティングボードを握っているのは森社長。弱々しく質問に答えている姿が印象的ですが、映画だけでなく、経営においても「したたかなプロデューサー」の一面が見えるのです。

(あおばコンサルティング代表取締役/1級FP技能士・宅建士 加藤圭祐)

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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